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wabi

Author:wabi


治療の一環として始めた海岸散策
そこで知り合った海岸猫たちと交流を
深めるうちに彼らの魅力に心惹かれて2009年10月に旧ブログを開設

そして2015年9月に当ブログへ移転

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★プロフィール写真は元海岸猫の愛猫

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2010年1月23日
東京都荒川区東日暮里で行方不明
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2012年8月5日
名古屋市緑区姥子山鳴海グランドで
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死線上の猫 (前編)

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リンエリアからの帰途、私はにわかに信じがたい光景を目にする。

いつもなら海岸沿いの道から帰るのだが、この日はとくだんの理由もなく防砂林をはさんだ反対側の国道をつかって家路についた。

日没がせまる国道、その脇のせまい歩道を私は西へむかって自転車のペダルを漕いでいた。

歩道の端に転がっている “その白っぽいもの” は、ずいぶん前から私の視界に入っていたはず。

だけどそんなところに落ちているのは、たいてい故意に捨てられたか、風で飛ばされた “ゴミ” なので、私の注意を喚起しなかったのだろう。


ところが‥‥。


数メートル手前でそれがゴミなどではないことに、私は気がついた。






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「猫だ!」 私は覚えず声をあげて、自転車のブレーキレバーを握った。

その白っぽいものは猫だった。ひとりのキジ白猫が歩道の隅に横たわっていたのだ。


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私は自転車から降りて、キジ白猫から2~3メートルほどのところにしゃがみこむ。

このキジ白は初めて見る子だ。

最近遺棄された捨て猫なのだろうか、それともどこかから流れてきた迷い猫なのだろうか。


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私はキジ白猫に話しかけた。「お前はどこから来たんだ? それにどうしてこんなところにいるんだ?」

だがキジ白はうつろな眼で私をちらりと見ただけで、口をつぐんでいる。


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キジ白の背後にある国道はこの時刻、交通量がおおく、バイクから大型自動車まで様々な種類の車両がひっきりなしに往来している。

こんな状態の道路を猫が横断しようとしたら、高い確率で車に轢かれるだろう。


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現にこの国道では、これまでたくさんの外猫が交通事故によって非業の死を遂げている

だから不用意な行動でこの子を驚かせ、道路へ飛びださせるような事態だけは絶対に避けなければならない。


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キジ白はやおら起きあがると、足速にこちらにむかって歩いてきた。

「え‥‥? 」 私は思わず腰をうかす。


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キジ白は私の脚に身体をすり寄せてきた。

念のためにもう一度言っておくけれど、私とキジ白とは間違いなくこのときが初対面だ。


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私は直感した、捨て猫か迷い猫かは判然としないけれど、この子はそれなりの期間ニンゲンと親密に関わっていたことがある、と。


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そのとき、防砂林の方から猫の鳴き声が断続的に聞こえてきた。

走行車の騒音をかき消さんばかりの大きな声だ。


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立ち上がって防砂林の中を探ってみると、黒シロ猫と目があった。

この黒シロとも今回が初見だ。


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黒シロは冷ややかな視線を私に投げかけてくる。

その双眸からは、キジ白からは感じられないニンゲンへの警戒心と猜疑心が見てとれた。


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キジ白と黒シロ、ふたりはこのエリアの防砂林で一緒に暮らしているのだろうか。

もしそうであるならどこかにエサ場があり、世話をしているボランティアさんがいるはず、しかしそのような場所も人物も私には心当たりがない。


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それにしてもこの人なつこいキジ白は、どういう理由があってこんな剣呑な場所にいるのだろう。


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見るに見かねた私は、キジ白を抱きかかえて国道からはなれた場所に移動する。

そして、「もう道路に近づくんじゃないよ」 と言いきかせながらキジ白を地面におろした。


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さらに 「友だちのいる防砂林のなかへ入りな。そこなら安全だから」 と私はキジ白に言った。


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しばらくはその場にとどまっていたキジ白だったが‥‥。


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やがて何かを思い出したように、国道へ向かって歩きはじめる。


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そうしてキジ白は国道までの距離が10メートルほどになったところでとつぜん歩を止めると、その場に座りこんだ。


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「それ以上近づくんじゃないぞ」 私は心持ち語気をつよめてキジ白の背中に声をかけた。


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だが私の言葉が理解できなかったのか、キジ白は国道への距離を5メートルにまで縮める。


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さらに国道へ近づこうとするキジ白、私はたまりかねてその進路に立ちふさがった。


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するとキジ白は私の足元にごろんと寝ころがり、またもや甘える仕草を見せる。

遊んでほしいと言っているのだろうか? それとも “ワタシを通して” と懇願しているのだろうか?

地面に横たわったキジ白を見ているうちに、私は急に切ない気持ちになった。

どうしてそんな感情が湧いてきたのか、このときは自分でもよく分からなかったのだが‥‥。



〈つづく〉



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死線上の猫 (中編)

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海岸猫が暮らす防砂林は国道に隣接している。

けれどよほどのことがない限り、海岸猫たちは国道に近づかない。

彼らは大きな音を嫌うし、自動車のおそろしさを本能的に知っているのだろう。

だからキジ白がなぜ引き寄せられるように国道へ近づくのか、私はどうしても得心がいかない。


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私は地面に寝転がったキジ白をしばらく撫でたあと、ふたたび抱きかかえて、さっきよりさらに遠くへキジ白を運んだ。


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あらためてキジ白の姿を見てみた。

年齢は分からない。まあ、猫の年齢は獣医であっても正確に見極められないので当たり前の話だが。

ただ性別は、小作りな顔や柔和な面差し、おだやかな物腰、しとやかな風情などによって早くから見当はついていたが、抱きあげたときに確認したらやはり “女子” だった。


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それよりも彼女の顔貌で印象的なのは、その眼つきから恐怖感や不信感や警戒感などの屈折した光がまったく見受けられないことだ。

劣悪できびしい環境で暮らす野良猫は、どうしても顔つきが険しくなる。

けれどこのキジ白からはそういった雰囲気が微塵も感じられない。


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さらにくわしく観察すると、左眼の瞬膜がわずかに露出しているのがみとめられる。

それに眼球自体も右眼にくらべて暗くにごっている。


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この 『瞬膜炎』 は寄生虫が原因という説や精神的なことが関係しているという説があるが、はっきりしたことは分かっていない。

また片方の眼だけの場合は、異物の混入や怪我のせいだと考えられている。


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何にしても私がいちばん気になっているのは、こうして魅入られたように国道へむかう、キジ白の心情だ。


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私はこの時点でキジ白を引きとめたり、国道から引きはなしたりすることを断念した。

たとえ強引にとどめたとしても、私がいなくなれば、キジ白は自分の意志でどこへでも行く。

だいたい猫を、なかんずく野良猫を言いなりにさせようとしても、融通無碍に生きる彼らにはほとんど通用しない。


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ちなみに10年ほど前、この場所には10数名もの海岸猫をかかえるエサ場があった。

しかし数年のあいだにそれらの猫はすべていなくなり、そのあとにはランがふたりの息子と、つぎにリンが4にんの子供としばらく住みついていた。

そしてリン一家が去ったあと、このあたりは誰もいない、言わば “猫の空白エリア” になった。


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今では当時あったエサ場の痕跡がわずかに残っているだけだ。

食事を与えてくれるひとがいなければ野良猫は生きていけない。

とすれば、キジ白と黒シロにもどこかにねぐらがあり、誰かの世話を受けているはず。


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そこで私は 「お前はどこで生まれたんだ。 親兄弟はいないのか。 帰る家はあるのか? 」 とキジ白に訊いてみた。

が、キジ白は目の前にいる私のことなど眼中にないようで、何も答えずにあたりを見まわしている。


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キジ白はそれから、ふたたび国道へむけて歩きはじめた。散歩を楽しむようなのんびりとした足取りで。


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私はキジ白の歩調にあわせてあとをついていく。

「お前の好きにすればいい‥‥そもそも私はお前にとやかく言う資格など持っていないのだから」

私にできることといえばこの子がどうしてここまで国道という場所にこだわるのか、その動機を見定めることくらいだ。


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そうは思っていても、キジ白が立ちどまるたびに、防砂ネットのなかへ入っておくれ、と祈らずにはいられない。


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が、いつものことだからあまり落胆はしないけれど、私の祈りはどこにも、誰にも届かない。

キジ白は一歩一歩国道へ近づいていく。ゆっくりとした歩度で、しかし確実に近づいていく。


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キジ白の眼の前を次つぎと車が通りすぎる。だがキジ白はためらうことなく歩を進めていく。


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この区間の国道は1日平均3万台ほどの交通量がある。ちなみに制限速度は60km/h。

中央分離帯が設置された4車線道路で信号も少ない、だから渋滞していない時間帯にはかなりのスピードで車が行き交う。

たいていの猫は、よほど切迫した状況に追いこまれない限り、こんな道路には近寄らないだろう。


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国道と防砂林にはさまれて真っすぐ延びている歩道。

この歩道は一種の緩衝地帯であり、海岸猫にとってはまさに生と死を分かつボーダーラインでもある。

つまりキジ白は、そんな “死線” ともいえる境界の上を歩いているのだ。



〈つづく〉



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死線上の猫 (後編)

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野良猫の主な死因を以下に挙げておく。

怪我や交通事故
ニンゲンによる虐待
野生動物などの外敵による攻撃
暑さや寒さ
栄養不良による抵抗力や免疫力の低下
猫エイズや猫白血病などの疾病

家猫なら怪我をしたり罹患したりしても治療を受けられる。が、野良猫はそうはいかない。

世話をするひとがいたとしても、まず体調の変化に気づくのが遅れるし、十分な治療を受けさせることもむずかしい。

そんな野良猫たちはきびしい環境を生き抜くために、鋭敏な知覚を駆使して、怪しいモノからは逃げようとし、危険な場所は忌避しようとする。

だからこの海岸で暮らしている猫たちは、滅多なことでは国道に近寄らない。

ところがここに、そんな野良猫の習性とは真逆の行動をとる猫がいる。


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キジ白は国道沿いの歩道を淡々とした調子で歩いていく。すぐ横を通りすぎる車を気にする風もなく。


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異物でも踏んだのだろうか、キジ白は後ろ脚をコミカルにぷるぷると震わせた。

そうしておもむろに歩道に腰をおろす。


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が、それも束の間、キジ白は身体をおこすと、ふたたび歩道を西にむけて歩きはじめた。


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しばらく進んだところで、キジ白はふいに立ちどまり後ろを振りかえる。

私を促しているのだろうか、それとももう大丈夫だから付いてこなくていいわよ、と言っているのだろうか。

私は防砂林の入口に立ったまま、キジ白をじっと見ていた。


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するとキジ白は前方に向きなおり、ふたたびゆっくりと歩きはじめる。

キジ白はどうやら、最初にいた場所を目指しているようだ。


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それにしても、いったい “あの場所” に、ここまで固執するどんな意味があるというのだ。

キジ白の行動は私の理解力を絶している。


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またキジ白が私の方を振りかえった。

私は言いたかった、そんなに私のことが気になるなら、防砂林に引き返してくればいい、と。


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だがさっきと同様、キジ白はじきに前を向いて歩きはじめる。

やがてキジ白が歩道の隅に座るのが見えた。

そこで私は彼女の足あとをたどるように、歩道を足速に歩いていった。


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果たしてキジ白は最初に見かけた場所にもどっていた。


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どうやらここは、この子にとってよほど重要な場所なのだろう。

ほかの場所では駄目で、ここでなくてはならない、そんな特別な事情があるに違いない。


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それはいったいどんな事情なんだ‥‥?

ほんにんに訊いてみたいけれど、おそらくこの子は口をつぐんで何も語ってくれないだろう。


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なんとなれば、甘える仕草は見せても、ここまで一度も声を発していないからだ。


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腹は満たされているようだ。もし空腹なら、もっとまとわりついて鳴き声をあげるはず。

ところがこのキジ白はそんな素振りを毫も見せず、恬淡とした態度に徹している。


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こうしているあいだにもいろんな車両が通りすぎていく。


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そのたびに大きな走行音が響きわたる。だがキジ白はおびえる様子をまったく見せない。


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直径が1メートルほどもある大型トラックのタイヤが、轟音を立てながらキジ白のすぐ脇を横切っていく。

それでもキジ白はおどろきもせず、平然とそれを眺めている。


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豪胆とか肝が据わっているとか、そんな単純な表現はこの子の場合適切ではないような気がする。


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柔和で穏やかな面差しからは、ある種の諦観のようなものさえ感じるからだ。

キジ白が地面に寝ころがったときに感じた名状しがたい切なさも、こういう情調が私の心に伝播したからかもしれない。


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ところで慧眼な読者のなかにはすでに気づいている方もあるだろうが、キジ白の周りの状況を何気なく見ていた私は、遅まきながらその事実に気がついた。


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キジ白がいるところだけ雑草が生えていないのだ。

彼女の身体の形にあわせてそこだけ箒で掃いたように、レンガが剥き出しになっている。

つまりこれは‥‥。


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キジ白がこの場所でこうしてうずくまるのは、今日このときだけではなく、習慣として過去に幾度もおこなわれているという動かしがたい証拠だ。


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そのとき、防砂林のなかから猫の声が聞こえてきた。やや切迫した声音だ。

姿は見えないが、さきほどの黒シロ猫だろう。


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おもむろに身体を起こしたキジ白も防砂林のほうをうかがっている。


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黒シロの声が立てつづけに聞こえてくるようになった。キジ白も耳をそばだてる。

声の響きからすると、黒シロはさっきより近いところまで来ているようだ。


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キジ白は防砂林と歩道とを区切っているネットへ近づいていく。あくまでもゆっくりとした歩調で。


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そうしてネットの隙間から身を乗り出すと、防砂林のなかを見まわしはじめた。

「きっと友だちもお前のことを心配して呼んでいるんだ。そのまま防砂林へ入りな」 私は願いをこめてそう言った。


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が、虚無の空間へでも吸いこまれるのか、私の願いは今度もどこの誰にも届かない。

黒シロの鳴き声はしだいに小さくなり、やがて聞こえなくなった。防砂林の奥へ立ち去ったのだろうか。


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キジ白は猫の特性であるしなやかな身体を活かして、ネットの支柱をはさんでくるりと反転すると、ふたたび歩道に歩みでてきた。


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「やれやれ‥‥」 私はため息をつきつつも、一方ではキジ白の意志の強さに感銘をさえ覚えはじめていた。

加えて、もともと鈍いうえに年齢とともにますます鈍化してきた私の洞察力だが、それでもここに至ればキジ白の意図が何とはなしに見えてくる。


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この子はこの場所で何かが起こるのをひたすら待っているのだ。

おそらくは特定のニンゲンが訪れるのを待っているのだろう。

ただし、それがエサ遣りボランティアさんだとは考えにくい。


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なぜなら野良猫の世話をしているひとが、こんな危険な場所に猫を待たせるとは思えないからだ。

この海岸のボランティアさんは決まったエサ場で海岸猫に食事を与える。

そしてそのエサ場は、国道からはなれた防砂林のなかに設けられるのがいわば常套化している。


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ただ、カリカリを置いていくだけのエサ遣りさんもいるにはいるが、その人たちにしても国道沿いの歩道に放置するようなことはしない。

‥‥いったいキジ白が待ち焦がれているニンゲンというのは何者なのだろう。

またそのひとは、この子がこんな剣呑な場所に居つづけていることを承知しているのだろうか?


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スクーターに乗ったライダーが通り過ぎざまに奇異な目を私へ投げてよこした。

それはそうだろう、毛づくろいをしているキジ白は死角になっているので、彼の視界に映っているのはカメラをかまえて歩道にしゃがみ込んでいる胡乱なオヤジだけなのだから。


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心に病を得てからの私は人目をことさら意識するようになったが、しかし猫と接しているときだけは他人からどう見られようがまったく気にならない。

こういう偏向的な感情の変動も、私がおちいっている 『二分割思考』 の影響があるようだ。




私がそろそろこの場からはなれようとしていたところへ、偶然知人が通りかかった。

数ヵ月ぶりに会ったその知人と、たがいが持っている海岸猫についての情報を交換しあっているとき、ひとりの女性が徒歩で近づいてきた。

この国道沿いの歩道を通行するのは自転車に乗ったひとかジョガーがほとんどで、歩くひとはごく稀である。


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その女性が近づくにつれ、以前に何度か見かけたひとだと確信を強くする。

そして、これまでのキジ白の不可解な行動の真意をようやく理解することができた。


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所用で出かけていたのか、出勤していたのか、私には知る由もないが、キジ白が身の危険を顧みず辛抱強く待っていたのは、この女性を迎えるためだったのだ


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女性は防砂林のなかに居をかまえている、いわゆる “ホームレス” で、ご主人とふたりで暮らしていた。

ただ数年前に、私も面識があるそのご主人が健康を害して防砂林から出ていったという風聞を耳にしている。

そのあとご主人は回復して防砂林にもどったのか、あるいはいまだに療養中なのか、それに関する話は聞きおよんでいない。


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防砂林での生活には経済的な事情もふくめて様々な困難があると推測されるが、それでも愛猫が可愛いなら小屋から離れないようにしてほしい。

そしてやむを得ずキジ白が小屋を抜け出したとしても、国道に近寄らせないでほしい。


望むらくは、今回の想いこそは行き先を見失わないで誰かの許に届かんことを。



〈了〉



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