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wabi

Author:wabi


治療の一環として始めた海岸散策
そこで知り合った海岸猫たちと交流を
深めるうちに彼らの魅力に心惹かれて2009年10月に旧ブログを開設

そして2015年9月に当ブログへ移転

⇒旧ブログはこちら

★プロフィール写真は元海岸猫の愛猫

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2010年1月23日
東京都荒川区東日暮里で行方不明
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2012年8月5日
名古屋市緑区姥子山鳴海グランドで
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海岸で暮らすということ (前編)

地球は秒速30Kmで太陽を中心に公転している

時速に換算すると10万7000Kmになる。


宇宙ロケットの速度が時速4万Kmほどだから、時速10万Kmは途方もない速さである。

が、当ブログは無謀にも時速10万Kmの公転に逆らい、時計の針を逆回転させることした。

「ネタが尽きたのだろう」と穿った見方をする読者もいるだろう。

ネタが完全に払底しているわけではないが、たしかに残りはわずかしかない。

なんとなれば、体調不良のせいで以前のように頻繁に海岸へ行けない状態が続いているからだ。

しかし季節の移ろいを無視し、なおかつ逆行するのには別の理由がある。


ということで、季節は再び半年前の夏にもどる‥‥。
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この日海岸で出会ったトイプードルの『 ルイちゃん 』。
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いくつかのきっかけがあって『 野良猫ブログ 』を運営している私だが、実は犬も大好きだ。
もし犬と猫の立場が入れ替わっていたら、私は間違いなく『 野良犬ブログ 』を立ち上げていただろう。



それはともかく、飼い主さんに写真掲載の承諾を得た際に、ブログの更新が遅れぎみだと言い添えたのだが、まさか発表が半年も先になるとは私自身も思っていなかった。
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「ルイちゃんごめんね、君の写真を載せるのが遅くなって。また海岸で会おうね。その時はサマーカットじゃない姿を撮影させてね」


こうしてルイちゃんをブログで紹介することも公転に逆らった理由のひとつである。


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それは唐突な出現だった‥‥。









私が防砂林脇の遊歩道を歩いていると、なんの気配も感じさせずにひとりの海岸猫がいきなり目の前に現れた。
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それは『 リン 』だった。
「リン、どうしてこんなところにいるんだ?」この場所は以前棲んでいたエリアからずいぶん離れている。



だが私の問いかけにリンは口を閉ざして何も答えようとしない。その代わりにいつもより勢いよく身体をすり寄せてきた。
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エカシさんのテント小屋の側にいれば食事ととっさの避難場所には困らないはずなのに、何故こんな遠くまで移動してきたのだろう。


実はリンがこの辺りにいると仄聞したので来てみたが、こうもすんなり会えるとは思っていなかった。
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私の手がいつもより大きく見えるかもしれないが、それは相対的な錯覚で、リンの身体がそれだけ小さいということだ。


視界の隅に動くものがあったので、そちらに目をやると、そこには見知らぬ仔猫がいた。
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その容貌と被毛の柄から、この仔猫がリンの子供だということはすぐに分かった。


よく見ると頭はキジトラ柄、そして体はサバトラ柄と微妙に色分けされている。
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被毛の種類は面積の広狭の差で決まるはずだから、この子は『 サバ白 』と呼ぶべきだろう。


サバ白の子の視線は私を通り越して母であるリンへ注がれている。
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そのリンはというと、子供に背を向けてさっきから毛繕いに余念がない。


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したところが、リンは突然毛繕いを中断して険しい表情で振り返った。


と、つぎの瞬間だった。私の脇を何かが風のように通りすぎたのは。


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それは先ほどのサバ白の子が駆けぬけた気配だった。
どうやら母子のあいだに私が割って入ったのでにわかに不安になったようだ。



これがニンゲンの子供なら「ママ、ママー」と半べそをかきながら走り寄っているところだ。
しかし、野良猫の子供は不用意に声をあげない。かといって初見の私を警戒していないわけでは、けっしてない。

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それとは逆に見知らぬニンゲンの出現に怯えているからこそ、あえて鳴き声を発しないのだ。


『 野良猫は余程のことがない限り鳴かない 』。

これは私の経験則から得た野良猫の実態だ。

ニンゲンも含めた天敵の注意を引かないための後天的な習性と推察され、多くの成猫にも見られる。
(稀に例外的な野良猫もいる)

野良猫が現在の厳しい環境を生き抜くためとはいえ、思えば実に哀しい習性だ。


加えて野良猫の母親は、必要以上に我が子を甘やかさないようだ。
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この態度は外敵の多い野良猫にとって、子離れ ・親離れを早い時期に達成させるためかもしれない。


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そのへんの事情を理解しているのか、サバ白の子も思いのほかあっさりと母へ甘えるのをあきらめた。


そしてサバ白の子は再び私の脇をすり抜けて遊歩道の奥へ歩いていく。
だがその足取りは重い。やはり母への想いがあるのだろう。

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一方リンは毛繕いを止めて我が子の後ろ姿をじっと見つめている。


ふと立ち止まったサバ白の子は、ためらいがちに後ろを振り返ろうとした。
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サバ白の子はしかし、何かを振りきるように前方へ向きなおると、ゆっくり歩を進め始める。


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そしてそのまま灌木の中へ姿を消してしまった。


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我が子が安全な場所へ隠れたことに安堵したのか、リンはにわかに表情を弛めた。


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10分ほど経ったとき、サバ白の子が灌木の中からひょっこりと姿を現した。
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その挙動から何かを捜している様子が見てとれる。


案の定、サバ白の子が希求していたのは “母の愛情” だった。
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リンは煩わしそうに我が子を押しのけるが、もちろん本気ではなく、母子でじゃれあっているという感じだ。


ふたりが突然動きを止め前方を注視する。どうやら私の背後を誰かが往来したようだ。
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海岸を訪れる人のほとんどは海辺沿いの道路を利用し、薄暗い遊歩道をとおる人はあまりいない。それでも他のエリアに比べればここは人目につく。


リンは何故そんなリスクを負ってまで、このエリアで子育てをしようと決断したのだろう?

かつてこのエリアでは三毛猫が不審死を遂げている。

給餌するため早朝にエサ場を訪れたボランティアさんは、両目を見開いてすでに冷たくなっていた三毛猫を植込みのなかで発見した。

外傷は無かったと聞いているし、前日までは普段と変わりなく元気だったそうだから、病死の可能性も低い。

吐瀉物の有無は聞き漏らしたが、状況からみて “毒殺” されたのではないかと私自身は思っている。

海岸には灯りがなく、日が暮れると防砂林は闇につつまれてしまい、海岸猫を虐待しても誰かに見咎められる懸念はない。


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だから街中ではありえない手口で虐待がおこなわれる。

深夜であっても、やはり繁華街や住宅街で野良猫に対して『 ボウガン 』や『 エアガン 』を使うことには二の足を踏むのだろう。

サイコパスといえども‥‥。

実際、この海岸ではボウガンを使用した海岸猫殺傷が何件もあったとボランティアさんから聞いたし、少年がエアガンで海岸猫を狙い撃ちしていた話を目撃したホームレスの人から教えられた。

そしてエカシさんからは、嬲り殺された3匹の仔猫が水路に浮かんでいた話を聞かされている。

最近だと、ランやリンがかつて棲んでいたエリアで巧妙に仕掛けられた『 毒エサ 』を口にした仔猫が命を落とした。

さらに、動機が分からない『 エサ場荒らし 』や海岸猫の食器に人糞を入れるなどの嫌がらせをする輩、そして大型犬のリードを外して「行け!」と命じて海岸猫を襲わせる輩までいる。

当ブログを見て、海辺で暮らす海岸猫は街中で暮らす街猫より恵まれていると感じた方がいたとしても、上記の事実を知ればその認識が間違いだと分かってもらえるだろう。


防砂林で暮らす海岸猫たちは、その環境が内包する危険性に常にさらされている。
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この世に生を享けて間もないこの仔猫にしても、いつ何時サイコパスどもの毒手にかかって命を奪われるか分からないのだ。



〈つづく〉



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海岸で暮らすということ (中編)

仔猫と私のあいだには、およそ5メートルの距離がある。
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この状況で5メートルという距離は、サバ白の子にとってまだ安全圏なのだろう。私がいきなり近づいても逃げきれる自信のある距離なのだ。


まあそれも当然で、サバ白の子の目の前にはニンゲンが容易に入り込めない灌木の密集地が広がっている。
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だから安心して寝転がっていられるのだ。もしとっさに身を隠す場所が近くになければ、言うところの『パーソナルスペース』も拡大されるに違いない。


それでも初めて会った私への警戒は常に怠らない。
サバ白の子は、私が姿勢を変えたりカメラを操作する際に発する微かな音を敏感に感知する。

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そして咥えていた小石が口からこぼれたことに気づかないほどの集中力で、私を凝視し始める。


やがて私が1ミリも近づいていないことを確認すると、サバ白の子はあらためて小石を拾いあげた。
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安全圏にいるとはいえ、こうして人前に姿をさらしているということは、二つに大別されている猫の先天的性格のうち、この子は間違いなく『 大胆な性格 』にあてはまる。


猫はたいてい一度に2~6匹の子供を出産する。となると無事に育っていれば、このサバ白の子にはあと1~5匹の兄弟がいることになる。
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そうであるなら、姿を見せていない他の子は『 臆病な性格 』なのかもしれない。


小石をおもちゃにして遊ぶことに飽いたのか、サバ白の子はまわりの状況を仔細に観察し始める。
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私を見つめる眼差しに怯えの色は見えない。母親が側にいると、仔猫は未知のものに対する恐怖心を抱かなくなる、という説を実証しているようだ。


仔猫の社会化期は生後2~8週齢と言われている。

この期間に仔猫は生きていくうえで必要不可欠な行動規範を身につけていく。

その際にロールモデルとなるのは身近にいる成猫であり、野良猫の場合だと必然的に母猫ということになる。

ちなみに生後まもなく母猫から引き離された仔猫は、その後に異常行動や情緒不安を見せるようになったという実験結果がある。

ニンゲンもそうだが、猫も幼いころの親との親密度が性格形成に大きな影響を与えるのだ。


サバ白の子はおもむろに立ち上がると、ゆっくりとした歩度で歩き始めた。
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てっきりリンの側へ行くのかと思ったら、すぐ手前の灌木の茂みへ姿を消した。


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リンは初見のときから人懐こかった。それはきっと幼い時期にホームレスの人達と一緒に暮らしていたことが、リンの性格形成に作用したのだろう。


サバ白の子がまた姿を現した。
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今度は鼻歌でも歌っている風に軽快な足取りで近づいてくる。


が、私への警戒心を解いたわけではない。
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この子は母親が側にいないと不安に襲われるのだろうか?


だから母の愛情を、そしてぬくもりや匂いをいつも身近に感じていたいのかもしれない。
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たとえ母ににべもなく無視されても、視界の中にその姿を常に認めていたいのかもしれない。


現在のニンゲン社会では親子の関係が希薄になっている。そしてまた “家族の絆” も昔より不安定になっていると思わせる事件が後を絶たない。
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野良猫の社会ではそのあたりの事情はどうなっているのだろう?ニンゲンと密接不離に結びついている野良猫だから、やはりニンゲン社会の時勢の変遷に影響を受けるのだろうか‥‥。


私は寛いでいる母子の側を離れ、久しぶりに訪れた防砂林を散策することにした。(海岸猫の姿を求めて)


このエリアはここ数年海岸猫が棲みついていない、いわば “空白地” だ。とはいっても、私が知らないだけで、リン母子のほかにも新たな海岸猫が暮らしている可能性がなくもない。
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遊歩道を外れて防砂林の中も探索したが、猫のいる気配はまったく感じられなかった。


元の場所に戻って佇んでいると、幼稚園の先生よろしく仔猫を先導しているリンの姿が目に入った。
当然のことながら、リンのすぐ後ろを歩いているキジトラの仔猫とは初対面になる。

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猫は自分が信頼するニンゲンに子供を紹介するという習性を持っている。リンもその習性に則って私に自分の子供を引き合わせようとしているのかもしれない。


リンがいきなり立ち止まった。前方、つまりは私の後方に胡乱な影を感知したのだろうか。
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どうやらそうではなく、にわかに毛繕いをしたくなったようだ。まあこれも、融通無碍な生き方を旨とする猫らしい行動の一例だと言える。


そうしたところが、キジトラの子がすぐ脇を通り過ぎたとたん、リンは悪鬼のごとき形相で激昂した。
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母の剣幕に驚いたのか、キジトラの子は一目散に灌木の陰に逃げ込んだ。突然の出来事とはいえ、カメラに収められないほどのスピードで、だ。


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毛繕いを続けるリンの後方から、途中で道草を食ったサバ白の子がやってきた。


迷いのない足取りで近づいてくるサバ白の子だが、今しがた兄弟がリンに叱り飛ばされたことは知っているのだろうか。
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サバ白の子が背後に接近した瞬間、注視する私の目の前でリンは “猫パンチ” を一閃させた。
呆気にとられた表情でサバ白の子は体をくねらせる。



更にはリンの激しい怒声がサバ白の子に追い打ちをかける。
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サバ白の子は、ほうほうの体で灌木の中へ逃走した。
いったいふたりの子供の何がリンの逆鱗に触れたのだろう。



親を追い越して前に出ようとしたからなのか、それとも毛繕いの邪魔をしたからなのか?

しかし目撃者として証言すると、キジトラの子はともかくサバ白の子はリンの前に出ていないし、直接毛繕いの邪魔もしていない。

この件についての考察はあとに譲って、ここは取りあえず食事を与えることにした。

短絡的すぎるかもしれないが、猫だって腹が減っているときは訳もなくイライラするだろうと思ったからだ。


猫缶を開けると全員が集まってきた。
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リンとキジトラの子は先刻の出来事が無かったように、仲良くひとつのトレイをシェアしている。


ただ注意深く見ると、キジトラの子はいくぶん遠慮気味に猫缶を口へ運んでいるのが分かる。
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それは母の叱責の余韻がいまだにキジトラの子の脳裏に残っているからかもしれないし、この子が身につけた習慣や礼節がそうさせるのかもしれない。


いずれにしろ、以前の居住エリアから遠く離れたこの場所で暮らすリン一家をいま少し観察することにした。



〈つづく〉



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海岸で暮らすということ (後編 1)

リンが食べるのを中断して、ちらりと隣のサバ白の子を見る。サバ白の子は自分に向けられた母の視線に気づく様子もなく、脇目もふらず猫缶を頬張っている。
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リンが再び目の前のトレイに向きなおる。そのわずかな隙にキジトラの子は灌木のなかへ引っ込んでしまった。


キジトラの子としては、母親と同じトレイで食べるのはやはり気詰まりだったのかもしれない。
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リンはついと顔をあげて灌木の茂みのなかを凝視する。私からは死角なって見えないが、おそらくリンの視線の先にはキジトラの子がいるのだろう。


母として我が子を食事にいざなうのかと思いきや、リンはさっきより勢いよく猫缶をむさぼる。
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読者の中には「どうしてトレイ3枚に猫缶を分けなかったんだ?」と訝る方がいるかもしれない。
当然の疑問だと思う。



なぜ私は猫缶の入ったトレイを2枚しか出さなかったのか?(トレイ自体は飲水用も含めて4枚用意した)
なんとなれば私が食事の用意をしているときに、キジトラの子の姿は見えなかった。
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それに新たなトレイを持って近づけば、食事中のキジトラの子が再び逃げだすのは分かっていたので敢えてそのままにしておいたのだ。


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やがてリンとサバ白の子の背後の灌木からキジトラの子がゆっくりと姿をあらわした。


そしてその場に腹ばいになると、やはり猫缶に未練があるのか、食事をつづける母の背中を見つめる。
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同じエサ場で同じ時刻に給餌してもらっているはずだから、この子ひとりだけが満腹だということは考えられない。


猫缶を無心に頬張りつづけている、きょうだいのサバ白の子と同程度には空腹のはずだ。
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母親の猫缶に口をつけるのに気後れするなら、きょうだいと猫缶をわけあえばいいように思えるのだが、キジトラの子はまるで順番待ちの列に並ぶように、サバ白の子の後ろにおとなしく控えている。


猫社会にはいわゆるヒエラルキーという概念はない。

だから猿山のボスのように絶対的な支配者は存在しない。

ただそんな猫社会であっても、個体と個体のあいだには当然のことながら優劣は顕在する。

力のある者と力のない者、気の強い者と気の弱い者とのあいだに厳然とした差異があるのは、猫社会でも通用する自然の法則だ。

しかし不思議なことに食事の優先順位という序列は、それらとはべつの力関係でなりたっている節がうかがえる。


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なんとなれば力で劣っている猫や小心な猫が、ときとして食事の順番に関してだけは優位にたっている場合があるからだ。

同じ日に生まれたきょうだいであるサバ白とキジトラにしても、おそらく食べ物に関しての画然とした序列があるのだろう。

だからこの不可解な力関係を単純に “長幼の序” と言い切ることもできない。

まあ、世の中には謎は謎としておいておく方がいい場合も多々あるので、この件については深く考察しないつもりだ。


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リンとサバ白の子の食べっぷりから自分に順番がまわってこないと思ったのか、キジトラの子は静かにその場を去っていった。


キジトラの子が立ち去ってもリンとサバ白の子は顧みようとせず、目の前の猫缶だけに集中している。
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サバ白の子にいたっては、食べ始めてからただの一度も顔をあげていない。


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海岸で生まれた仔猫を見るたびに、私の心にはある想いが否が応でも湧きあがってくる。

その想いとは‥‥。


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《 自身の持つ生命力でさまざまな苦難に打ち克ち、そして自身の持つ運でいつの日か心ある人に保護されますように 》 という切なる願いだ。

しかし、私のこの願いはたいていの場合叶うことはない。


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この海岸で生まれた猫が1歳を迎えることは稀で、大半がそれまでに死亡するか行方不明になる。

行方不明の子がすべて不幸な目にあったとは思わない。だがこの事実は猫たちの海岸での暮らしがいかに過酷であるかを示唆している。


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ニンゲン同様、猫も生まれてくる時と場所を自分では選べない。

だからといって同じ猫でありながら純血種には何十万円もの値段がつき、名もない野良猫は危険な戸外で暮らすか殺処分されるのでは、懸け隔てがあまりにも大きい。※〔1〕


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この野良猫の母子が末永くしあわせに暮らせるときは、はたしてこの日本にやってくるのだろうか。


そして私はこうして気まぐれに彼らのもとを訪れては、食事を与え撮影した写真でブログに記事を書きながら、その日がくるのをただ待っていることしかできないのか。

そうであるのなら、私がやっていることは野良猫たちの救済にこれっぽっちも寄与していない。

いったい私は何をしているのだろう?

だいたい私には今以上に何かできることがあるのだろうか?

そもそも私は何者なんだ‥‥!?



〈つづく〉



脚注
※〔1〕もちろん純血種の犬や猫のすべてが、温かい家に迎えられるわけではないと知っている。



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海岸で暮らすということ (後編 2)

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食事を終えたサバ白の子は遊歩道に姿をあらわすと、虚空を見つめ始めた。
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いや、ファインダー越しの私の目では確認できないが、頭上に何かを発見したようだ。


どうやらその正体は空中を舞っている “小さな虫” だと思われる。
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サバ白の子は頭上を見あげたまま腰を落とすようにして、後ろ脚の筋肉を収縮させる。


つぎの瞬間、サバ白の子はその “獲物” めがけて跳躍した。
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猫はライオンやトラなどの大型のネコ科とおなじ『肉食動物』なので、当然のことながら虫も食べる。

昆虫などの『節足動物』のほかには『小型鳥類』や『小型哺乳類』、『小型爬虫類』、『小型両生類』、『無脊椎動物』なども猫は捕食する。

要するに、自分が捕捉できる生き物のあらかたは猫にとっては獲物なのだ。

定義だと『肉食動物』は生きている動物を捕捉して食べる動物を指す。

加えて穀物や果実などの植物から栄養素を摂取できない動物を『肉食動物』と言う。

ちなみに犬は基本的に肉食だが、進化の過程で植物性の栄養をある程度吸収できるようになり、結果として雑食性になったと考えられている。

そういう意味では、猫は野生の本能を堅持する生来のハンター(捕食者)だと言える。


サバ白の子の様子ではどうやら獲物を取り逃がしたようだ。
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そのサバ白の子の脇をキジトラの子がゆっくりとした足取りで通りすぎようとしている。


するとサバ白の子はその気配を感じて振り向いた。それに呼応するようにキジトラの子も慌てたふうに振り返る。
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そしてキジトラの子はきょうだいであるサバ白の子に対して、頭を下げるような仕草で姿勢を低くした。


この一見何気ない光景からも、仔猫ふたりのあいだに歴然とした序列のあることがうかがえる。
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言うまでもなく先に目を逸らしたキジトラの子が劣位にあり、先頭をきって歩きだしたサバ白の子が優位にたっているのだ。


単純な力関係と食事の優先順位はべつだと先刻述べた。しかしほぼ同時に生まれたきょうだいの場合はすべての序列が同じなのかもしれない。
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もしそうであるのなら、その序列はふたりが生まれる前、つまりまだリンのお腹にいたときに下された決定事項なのだろう。ただ‥‥。


その要因が父親の血筋のせいなのか、運命のしからしめるところなのかまでは分からないけれど。
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キジトラの子と一緒に灌木の中へ入ろうとしたサバ白の子だったが、再び遊歩道の中央近くまで引き返してきて私をじっと見つめる。
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さらに、憂いをふくんだ表情でその視線を私の後方へ移動させた。


キジトラの子はおそらく、自分たちの後を追ってこない母のことを気遣っているのだろう。
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我が子のそんな想いを知ってか知らでか、リンは残りの猫缶をすべて平らげ悠々と水を飲んでいる。


ところで‥‥。

リンは何故住み慣れたエリアを出て、遠く離れたこの場所へ移ってきたのか?

それは実に単純で自明な事情からだった。

なんとなれば、それまでリンたちの世話をしていたエカシさんがテント小屋ごといなくなったからだ。

エカシさんのテント小屋があったところは今‥‥、
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防砂林本来の姿に戻っている。
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その存在自体を知らない人が場所を特定するのは不可能なほど、テント小屋は綺麗さっぱり取り払われていた。


エカシさんのテント小屋はここにあったのだが、それをうかがわせる物は何ひとつ残されていない。
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唯一、奥の方に四角いコンクリ片と大小の石がそのことを黙示するように整然とならんでいるだけだ。


“ 立つ鳥跡を濁さず ” という諺があるが、まさにそれを具現化したような見事な撤去ぶりである。

ただしそれがエカシさん本人の手によるものなのか、はたまた行政代執行による強制的なものなのか、私には知る由もない。


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テント小屋跡を中心にして辺りをしばらく歩いてみたが、ここに居たはずの猫の姿もその存在を示唆する物も発見できなかった。


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かつてのリン一家がくつろいでいた場所にも、それらしき形跡は見当たらない。


とすれば2014年の春に生まれた、4匹の仔猫たちはいったい何処へ行ったのだろう?
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そして、2013年の春に生まれたタクローは何処へ行ったんだ?
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このとき私の脳裏にエカシさんの言葉が蘇ってきた。

その言葉とは‥‥。

「俺はいずれ此処から出て行くつもりだが、その際には猫たちを連れて行こうと思っている」というものだ。


当初から物おじしない性格のサバ白は、エカシさんに心を許しすっかり懐いていたから、帯同した可能性がきわめて高い。
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ではほかの子はどうなったのか、と訊かれたら、私には “分からない” と答えることしかできない。


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『里親募集記事について』

長期間トップページの最上段に『危険な防砂林から仔猫たちを救って!』
と題した里親募集の記事を掲載していたのですが、
上記にあるように、対象の仔猫たちが居なくなった今、無意味なものになりました。


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かかる事態になったのは、2014年の秋以降精神状態が不安定だったとはいえ、
ひとえに私の責任であり、忸怩たる思いでいます。


募集記事にも記したように、本来なら保護をしてから里親さんを募るべきなのですが、
私が抱えている諸般の事情が足枷となって、そういう手順を踏めなかったのです。


また複数の猫のなかから特定の子をどうやって捕獲するかという難問や、加えて‥‥。

いや、これ以上言い訳を重ねるのは止めておきます。

できなかったことの弁解はいくらでも考えられもので、
結局は恥の上塗りになるのがオチですから。


何はともあれ、こういう里親募集の方法はやはり常識はずれであり、
それまで何度か現地譲渡を成し遂げたことで抱いてしまった、
私自身の慢心が生んだ結果だと猛省しています。


がしかし‥‥。

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私は剣呑な防砂林で暮らす野良猫たちの救出をあきらめていません。

それというのも、防砂林にはブログで紹介していない仔猫がいるうえに、
今月(2016年4月)になって新たに仔猫が生まれました。


母猫はエサ場に通ってきていますが、
仔猫が姿を見せるまでには今しばらく時日を要するでしょう。


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誤解のないのように補足しておきますが、
ボランティアの人が不妊手術を受けさせるのを怠ったわけではありません。


仄聞したところによると、
ボランティアの人は何度も捕獲を試みたものの、ことごとく失敗したそうです。


野生の本能をいまだに持ちつづけている猫は、
たとえ懐いている人にも容易に捕獲されないもの。


いわんや生粋の野良猫ではさらに難度が高くなる。


というわけで、海岸猫の里親募集は今までどおり継続します。

ただ前回とおなじ過ちを繰り返さないために、
捕獲から譲渡までのやり方を再検討するつもりです。


取りあえず今考えている手順は確実に捕獲ができる子の里親さんを募り、
実際に私自身が保護してから譲渡するというもの。


また仔猫に限定せず、成猫も含めたすべての海岸猫を対象とします。

これはコジローをはじめとする複数の成猫が引き取られている事実があるからです。
(詳細は『青天の霹靂 (後編 2)』を参照してください)

私の体調をふくめた状況が改善すれば、
将来的には今一歩踏みこんだ野良猫救済活動をしたいと思っています。



里親募集記事の初稿をアップした折には、
多くのブロガーの方に拡散していただきました。


この場を借りてあらためてお礼申し上げます。

そして今現在も拡散記事やリンクをトップページやカラムに掲載していただいている
下記のブロガーさんに深謝いたします。


barusa39さん
『猫は家族』


・pokopoko・さん
『あたし時間 ~ときたま ちらほら ふたり時間~』


takaさん
『おらんくニャンコ記』


あんまぁさん
『あんまぁ(オカン)とワンとニャンコの島暮らし@石垣島』


おこちゃんさん
『[心と身体、人と私、癒しと石]』


キッツさん
『叫んで、みたいのおぉぉぉ!』


志村ゲンさん
『気ままな雲のブログ』


❤ビクママ❤さん
『♪ビクの気まま生活♪』


冷凍SANMAさん
『C肝ダメログ』


やくもさん
『やくものメモ帳』


※〔1〕

上記のブロガーさんにおきましてはできるだけ早く里親募集の記事を改稿し、
バナーもあらたに制作しますので、しばらくお待ちくださるようお願いいたします。


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キジトラの子が不安そうな面持ちで見つめるなか、サバ白の子はおもむろに踵を返した。
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しばらくその場に佇立していたサバ白の子だったが、思いを定めたように歩を進め始める。
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そうしてキジトラの子のあとを追って灌木の茂みのなかへ入っていった。


ややあってリンが遊歩道に姿をあらわした。
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そして遊歩道の真ん中で悠然とグルーミングを始める。野良歴の長いリンならではの余裕ある態度だ。


やがてリンはゆっくりと身体を起こすと、悠揚迫らぬ落ち着いた様子で歩き始める。
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私はそんなリンをその場にとどまり黙って見送ることにした。


リンも付き合いの長い私との接し方を心得ているようで、振り返るそぶりさえ見せない。
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海岸猫が別れ際にこのような淡白な態度を示してくれると、かえって私の気持ちは楽になる。


なんとなれば物言いたげな表情で見送られると、彼・彼女らを救い出せないことで感じる罪悪感がいや増すからだ。
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リンが灌木のなかへ完全に身を隠したのを確認した私は、しずかに後じさりながらその場を離れた。


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私には数年来抱きつづけている “夢” がある。

それは現実的で実際的な着想というよりは、机上の空論や砂上の楼閣と同様の “幻想” の類といったほうが適切だろう。

何故ならその夢は文字どおりPCが置かれている私の机の上から1ミリも出ていないし、小さな波で簡単にくずれるくらい脆弱だからだ。

なので前述した里親探しは、夢の仮想的かつ試験的な第一歩と言えなくもない。

この夢に関しては今後も折にふれて述べていきたと思っている。



〈了〉



脚注
※〔1〕アルファベット順・五十音順で表記。
このリストはFC2と『おきてがみ』の訪問履歴およびテキスト検索で得た情報に基いています。
ただ私のことですから見落としもあると思いますが、なにとぞご容赦ください。



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あなたのちょっとした配慮で小さな命が救われる。


#猫バンバン PROJECT MOVIE by NISSAN
#KnockKnockCats






テーマ:猫の写真
ジャンル:写真

ニューカマー (前編)




初春‥‥。だが今年は春の到来が遅れていて、海岸に吹く風はまだ冷たい。
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頭上を見あげると、上昇気流をとらえたトンビがいかにも気持ちよさそうに、弧を描きながらゆったりと滑空している。


私は久しぶりにリンの住むエリアを訪れた。

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エリアの中をゆっくり歩きながら名を呼ぶと、リンはすぐに姿を現した。


そしてリンは側に寄ってきては、親愛の情をこめて私の脚に身体を擦りつけてくる。
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以前会ったときよりリンは少し太っていた。おそらく去年の秋に篤志の方たちによってなされた避妊手術の影響だと思われる。


2年前に私自らリンに避妊手術を受けさせようと捕獲を試みたのだが、私に馴れているはずのリンの予想外の抵抗にあい、2度失敗した経緯がある。

その直後私は体調不良におちいり、長らく海岸へ来られなかった。その間にリンは出産をし、3名の子供をもうけた。

だから私は今でも捕獲の失敗をひどく悔やんでいる。


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自分ではそんなつもりはないと思いたいのだが、抱くこともできるリンだから簡単に捕獲できるだろうという気の緩みが心のどこかにあったのかもしれない。

それでも、抱きあげてキャリーバッグに入れようとして逃げられた1度目の失策を自戒し、2度目は食べ物でキャリーバッグに誘導する方法を採った。

だが前回の記憶がリンの脳裏に残っていたのだろう、リンはけっしてキャリーバッグに入ろうとしなかった。


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不幸な子をこれ以上増やさないためにも、またリン自身を長生きさせるためにも、誰が避妊手術を受けさせようと、基本的には構わない。

だから当然、今回リンに避妊手術を受けさせてくれた人たちには感謝している。

ただ本来は、リンの生い立ちやその後の来歴を知る私がやるべきことだったと感じているのも事実だ。

とはいっても、偏狭なこだわりを持っていた訳ではなく、純粋にそうするのが自然だと思っただけなので、どうかそこのところは誤解しないでいただきたい。


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実際に捕獲を試みる以前に、その当時リンの世話をしていたホームレスの人にリンの避妊手術を2度申し入れてことごとく断られて歯がゆい思いをしている。

そのような経緯もあり、私はリンの捕獲失敗をことのほか後悔しているのだ。


私がそんな思いにとらわれているときだった。

背後に何かの気配を感じたのは‥‥。


振り向くと見知らぬ猫が灌木の茂みの側から、こちらの様子をうかがっていた。
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このエリアで暮らしている海岸猫なのか、それともたまたま通りかかった流浪の猫なのか、しばらく海岸から足が遠ざかっていた私には判断がつきかねた。


リンもその存在に気づいたらしく、いつの間にか私の足元にきて端座していた。
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ふたりの間にはおおよそ6~7メートルほどの隔たりがある。リンとサバ白猫はその間合いを縮めることも延ばすこともせず、ただ黙って向きあっている。


猫は縄張り意識の強い動物なので、ほかの猫が自分のテリトリーに侵入してきたら、たいていの場合は威嚇して追いだそうとする。

しかし表情こそ確認できないが、リンは沈黙したまま身じろぎしない。


そしてサバ白猫の表情からも敵意や害意といった感情は微塵も感じられない。
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互いにこれといった行動をとらずに口を閉ざしたまま見つめ合っているのは、ふたりが既知の仲だからかもしれないな、と私は思った。


写真のデータをあとで調べて分かったことだが、サバ白猫の姿を視認してからこの時点まで2分以上経過している。
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私はふたりに干渉しないように後ずさって、成りゆきをしずかに注視していた。


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すると何かのきっかけがあったのか、それとも当初からの予定の行動なのか、サバ白猫はいきなり身をひるがえすと足早に遊歩道の奥へ歩きだした。


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そうしてサバ白猫は灌木の茂みの中に姿を消した。その間一度も後ろを振り返らなかった。


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私はエリアにいくつかあるエサ場のうちで、最も古くからあるエサ場へ足を運んだ。
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リンも私のあとを追うようにエサ場にやって来た。


このエリアで一緒に暮らしているはずのリンの娘の姿を捜したが、傘にかこまれたサ場に誰かが潜んでいる気配は感じとれなかった。
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少なくともこのときは‥‥。


リンは陽が傾いた海岸の情景をネット越しに眺めながら、何やら沈思している風情だ。
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今の海岸での暮らしぶりについて考察しているのか、それとも生き別れた子供たちに想いを馳せているのか、残念ながら私にはうかがい知ることができない。


リンは姉妹のランとともに2010年4月27日、防砂林の中にあったホームレスのテント小屋で生を受けた。

テント小屋とはいえリンとランは一家眷属ともども室内飼い状態だったのだが、2012年の春に飼い主であるホームレスの男性は海岸から立ち去った。

その際に男性は知り合いのホームレスに猫たちを託した。


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ところが外で飼われるようになってからしばらくすると、妊娠中のリンとラン以外の猫は全員いなくなったという。

その直後の2012年5月にリンとランは揃って出産した。

ランは出産後3名の子供のうちふたりだけを連れて、世話を受けていたホームレスのテント小屋を離れて別のエリアへ移り住んだ。


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リンは生まれ育ったそのエリアに残ったのだが、2013年8月にテント小屋が放火に遭ってホームレスの人が防砂林から退去させられたために、寄る辺ない野良猫の身となる。

だがそんな境遇におちいったあとも、リンは防砂林の中で子供を育てながらたくましく生き抜いた。

結果としてリンもまた、周囲のニンゲンの事情のせいで運命を翻弄された犠牲者である。

私としてはこれ以上過酷な状況にリンが追いこまれないよう祈るばかりだ。


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ゆっくりとした足取りで私の目の前を横切ったリンは、そのままエサ場を去っていった。


《他のエサ場へ行くのかもしれない》、そう思った私は、さっきとは逆にリンのあとを追っていくことにした。

そうして傘にかこまれたエサ場を通りすぎようとしたときだった。

私の視界の片隅でなにかが動いた。


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とっさにリンの娘だ、と思った私はカメラをかまえて向きなおった。


しかしそこにいたのは別の猫だった。海岸ではついぞ見たことのない、灰色と白の被毛をまとった猫だった。
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私は興奮をおさえながらシャッターを切りつづけた。
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顔を洗っているということは、今までエサ場のなかで昼寝をしていたのかもしれない。


灰シロの猫はまだ幼さが残る顔をあげた。身体の大きさから推すと生後半年くらいだろうか?
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いっときの高ぶりが徐々に治まってきた。

すると初対面の海岸猫を眼前にした際に言う言葉が、私の口から自然について出た。

「お前は誰だ‥‥?何処から来たんだ‥‥?」



〈つづく〉



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ニューカマー (中編)




「お前は誰だ?」とか「何処から来たんだ?」などと猫に尋ねても、答えが返ってくるはずのないことはもちろん私も承知している。

だがこういう場面に逢着した場合、ほかの言葉が浮かんでこないのだから仕方がない。

そこで私は馬鹿のひとつ覚えのように、ふたたび幼い海岸猫に訊いてみた。

「お前は誰だ?、何処から来たんだ?」と。

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しかし灰シロ猫は今回も私の問いかけを完全に無視し、あくびしながら背骨を大きく湾曲させて伸びをした。


灰シロ猫と私の間には4メートルほどの距離しかなく、当然灰シロ猫は私の存在に気づいているはず。

なのにこの泰然とした物腰態度はいったいどういうことだ‥‥?


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カメラを持った見知らぬニンゲンが目の前にいるというのに、あろうことか灰シロ猫はその間合いを自ら詰めてきた。


松の幹を見据える灰シロ猫‥‥、爪を研ぐつもりなのか?
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いや、これは爪研ぎではなく、松の木を利用した『 伸び 』のバリエーションのひとつだと思われる。何故なら幹にかけた前足をまったく動かしていないからだ。


灰シロ猫は松の木から前足をおろしたとたん、何のためらいもなくこちらに向かって歩を進めてくる。
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我々の距離はついに2メートルを切り、戸惑った私は思わず背筋をのけぞらせながら後ずさった。


初見の海岸猫、それもまだ仔猫といってもいい海岸猫にこちらが気圧されるなんて経験は今回が初めてであり、そしておそらく向後も二度とないだろうと思われる。

この灰シロ猫の出自は不明だが、猫の性格形成には父親の遺伝子が大きな影響力を持つという説が正しいのなら、この子の父親は『 豪胆 』な猫にちがいない


私の脇を昂然とした足付きで横切ってゆく灰シロ猫。
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この行為は穿った見方をすれば、『 示威行動 』ともとれる。まったく何という大胆不敵な猫だ。


ただこの物おじしない行動だけでは元飼い猫だったのか、はたまた生粋の野良なのか、簡単には判断できない。

なんとなれば、生粋の野良のなかには最初から人懐こい子もいるし、それとは逆に飼い主に遺棄されたばかりであってもニンゲンを忌避する子はいるからだ。


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かかる状況にあってはまず、母猫や同じ月齢の兄弟が近くにいないかを確かめる必要がある。

がしかし、その可能性はかなり低いだろう、というのもこのエサ場に来てからすでに20分ほど経っているが、近くに家族がいるならとっくに姿を見せていると考えられるからだ。


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この灰シロ猫について今現在判明しているのは、月齢が半年くらいの男子ということくらいだ。

どういういきさつでこの子がこのエリアで暮らすようになったのか‥‥、いずれ関係者に会って訊いてみるしかないな、と私は思った。


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ここにきて、灰シロ猫はようやく私の顔をまともに見た。まるでたった今、その存在に気づいたかのように。


少し憂いを含んだ幼い猫の表情がなにを物語っているのか、私の凡眼では読み取れない。
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いずれにしろ生後半年ほどの幼い猫が親とはなれて独り海岸で暮らすようになるまでには、辛く悲しい目にあったにちがいなく、無邪気な振る舞いを見ただけにかえって不憫に思う。


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またこの子が此処に住みついた時期については、自分の運命を受け入れた諦観といってもいい雰囲気を漂わせているところを見るかぎり、最近のことではないだろうと推測できる。


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私がそんな思いに耽っていたら、灰シロ猫はあくびをしながらこちらに歩み寄ってきた。


この再接近に対して私はその場に佇み、ただシャッターを切ることだけに専念した。
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いくら人を警戒しない猫であっても敢えてこちらからは手を出さない、これは私が野良猫と付き合ううちに自然と習得した対応方法だ。

そもそも私が野良猫に関わる目的は彼らと親密な間柄になることではなく、彼らを観察しその実態をブログで発信することにある。

しかしそうして発信した記事を読者諸氏がどう受けとめるのか、それはそれぞれ違うだろうし、管理人である私はコメントなどの内容から推察するしかない。


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過去においては、私のブログ(旧ブログ)を読んだのをきっかけに野良猫の保護活動を始めたという、望外なメールが寄せられたこともあったが、あくまで稀な例だ。

それに私もそこまで求めている訳ではなく、これまで実情を知らないという理由で野良猫に無関心だった人が少しでも彼らに温かい目を向けてくれたなら、私にとって本懐なのだ


エサ場の入り口で立ちどまっている灰シロ猫。
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灰シロ猫はやがて、長い尻尾を上げたままエサ場のなかへ姿を消した。


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今日はまだその姿を見せていないリンの娘を捜すために、私はふたたび遊歩道へ戻った。


すると、緊張した面持ちで遊歩道の上に佇んでいるリンと目があった。
《 あんなところでいったい何をしているんだ、リンは? 》

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私の姿を認めたのをきっかけとしたように、リンは慎重な足運びで灌木の茂みに近づいていく。


そして灌木の手前でうずくまり、耳をそばだててその奥を凝視しはじめた。
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常ならぬリンの挙動から推しはかると、どうやら灌木の奥に何者かが潜んでいるようだ。

今日はすでに初見の海岸猫ふたりと遭遇しているのに、また新たな猫との出会いが待っているとでもいうのか‥‥。



〈つづく〉



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ニューカマー (後編)




いったい誰が灌木の中にいるのか私もその正体を知りたいのだが、こういうとき私は大抵距離を置いて静観することにしている。
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実質的には限定された領域で完結している野良猫の社会に、部外者であるニンゲンがむやみに首を突っ込むのは良策でないと思っているからだ。

たとえ喧嘩になったとしても弥縫策的な仲裁など何の役にも立たないし、また決着がつかないことでかえって遺恨を残すことも考えられる。


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家猫同士の場合も基本的には同様で、劣位の者が逃げ場のないところへ追いつめられたり、優位の者が一方的に攻撃をしつづける状況にならない限りは傍観している方がいい。

なんとなれば野生の本能をいまだに墨守している猫、その猫社会における序列をニンゲンが無理やり変えたとしても、そこには歪んだ力関係が生じ、双方に解消されないわだかまりを抱かせる結果になるかもしれないからだ。※〔1〕

ただし、上記の事項はあくまでも私見であることを申し添えておく。


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灌木の奥に潜んでいた何者かが立ち去ったのか、やがてリンはおもむろにきびすを返すとこちらに向かってきた。


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リンはこのエリアで最年長の海岸猫であり、また母親でもある。

だからおそらく自分のテリトリーを定期的に見回るのは、リンの務めであり慣習なのだろう。


リンがいた辺りの灌木の奥を覗くと、何と先刻リンと対峙していたサバ白猫の姿があった。
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当然リンも気づいているはず、それなのにこの場を離れたということは、このサバ白猫とリンは私が最初に感じたように見知った間柄なのかもしれない。


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ところがそんな私の反応を観察していたのか、振り向くとリンが緊張した面持ちで目を瞠っている。


そしてリンはふたたび灌木の茂みへ足早に近づいて行き、その奥を注視し始めた。このリンの行動に私は奇異な印象を受けた。
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サバ白猫はたしかに灌木の茂みの中にいた。でもその事実はリンだって知っているはず、なのに何故いまさら警戒心をしめす必要があるのか、私にはさっぱり理解できない。

可能性として考えられるのは灌木の中に複数の猫がいた場合だが、しかしそんな偶然があるものだろうか。


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さっきの場所にサバ白猫の姿はないし、リンの後ろ姿からも緊張感は感じられない。
今度こそサバ白猫は立ち去ったようだ。



その時である、数メートル先の遊歩道を横切る影が私の視界に飛びこんできたのは。
私はとっさにレンズをそちらに向け、シャッターを押した。

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それは捜していたこの春に1歳を迎えたばかりのリンの娘だった。

《 待てよ、リンの娘が出てきたのは、さっきサバ白猫が潜んでいた同じ灌木の茂みだ 》

《 ということは‥‥、リンの娘とサバ白猫は灌木の中に仲良く潜んでいたのか? 》

このエリアの事情に疎い私は、その可能性を完全に否定できる立場にはないが、かといって肯定できる場面を目撃した訳でもない。


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そんな私が知っているのは、サバ白猫が “太くて短い尻尾” の持ち主だという事実。

つまり‥‥。

サバ白猫の尻尾はリンやリンの娘と同じ形状をしている、とだけは明言できる。

この事実にどんな意味があるのか、残念ながら今の私は判断を下せるだけの情報を持っていない。


私はリンを引き連れ、リンの娘の後を追って防砂林の奥へ進んでいった。
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というのは私の一方的な思いこみであって、リンとしては逆に私を “ 露払い役 ” にしてテリトリーを巡回しているつもりなのかもしれない。


リンはじきに私から離れ、周囲の匂いを丹念に嗅ぎはじめた。
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テリトリーにほかの猫の匂い、とりわけマーキングの跡が残っていないか細心の注意をはらっていると思われる。


ところが私が一瞬目を離した隙にリンは松の木によじ登ってしまった。ちなみにリンは小柄なこともあって木登りを十八番(おはこ)としている。
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猫が高いところを好むのにはそれなりの理由がある。

まず外敵に襲われるリスクが低くなり、逃げるのにも都合がいいということが挙げられる。

そして視点が高くなると視認性が良くなって、敵の接近や獲物の居場所をいち早く察知できる。


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猫はおおむね木登りが得意だが、なかには木登りが不得手なぶきっちょな猫もいる。

外敵が多い野良猫にとっては、木登りの得手不得手が生死を分けることも十分に考えられる。


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リンは生まれてからの3年間をホームレスの庇護のもと、防砂林にあったテント小屋で暮らしていた。

2013年の夏に、そのテント小屋が放火に遭ったのをきっかけとして、リンは野良猫生活を余儀なくされる。

リンが野良猫としてこれまで生き長らえてこられたのは、自身が持つ運動能力の高さが要因のひとつかもしれない。


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防砂林の一隅を見つめて、リンがにわかに身構えた。さっそく何かを発見したようだ。


リンは視軸を保持したまま体勢を変えた。
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リンが何を凝視しているのか私には確認できないけれど、リンの視線の角度からすると樹上にいる小鳥に照準を定めていると思われた。

私は何度か目撃しているが、肉食動物である猫は鳥も捕食する。※〔2〕


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だがこのような状況では相手に気づかれないように近づくのは不可能だ。

驚異的な跳躍力か翼をリンが持っていれば話は違ってくるが。


対象物が動いたのだろう‥‥、その動きに合わせてリンも視線を移動させる。
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どうやらリンが狙っていた獲物は何処かへ飛び去ったようだ。残念な素振りを見せないことから、リン自身も当初から捕獲できるとは思っていなかったのだろう。


リンは視線を元の方向に戻したが、さっきまでの張りつめた雰囲気は雲散している。
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たぶん居心地が良いからだろうと思うのだが、リンはこうして木に登るとなかなか降りてこない。

そこで樹上のリンをそのままにして、私は最初に訪れたエサ場へ戻ることにした。


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エサ場には先ほどの灰シロ猫が独りぽつねんと佇んでいた。
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夕刻の海岸の様子を眺めている幼い海岸猫の後ろ姿には、なにがなし寂寥感が漂っている。


離ればなれになった母や兄弟のことを思い出しているだろうか。それとも‥‥。
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このような境遇に落とし入れられた自分の身をはかんでいるのだろうか?


あけすけな私の視線に気づいたのか、灰シロ猫が私との距離を詰めてきた。
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それにしてもニンゲンの存在を察知して逃げるどころか近づいてくるところなど、やはりこの子は相当に人馴れしている。

だからといって元飼い猫だと決めつけるのは早計で、たとえ生粋の野良であっても幼齢時期(生後数週間)に人と触れあう機会が多ければ人懐こい性格になる。


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まれに見る人懐こい猫といえども最低限の警戒心はあるようで、灰シロ猫は松の根元にとどまり、それ以上近づいてこない。


私は独りごちるように言う。「それでいい、これからも剣呑なこの防砂林で暮らすなら、絶対に警戒を怠るんじゃない」

「此処には様々な外敵がいるけど、その中でもとくにニンゲンには十分用心するんだぞ」

「何と言ってもニンゲンはこの地球上で一番残酷な生き物なんだから」


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と諭してみたものの、好奇心旺盛な灰シロ猫の顔を見ていると、不安な気持ちは払拭できない。


リンが戻ってきたので、ふたりに食事を与えることにした。

リンの娘はさっき一度だけ、それも私の目の前を横切っただけで、結局その後は姿を見せなかった。

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リンはあくまでも鷹揚に、そしてそれとは対照的に育ち盛り・食べ盛りの灰シロ猫は貪るように猫缶を食べる。


灰シロ猫はまともに咀嚼しないで呑み下すような食し方をしている。
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私はまた独りごちる。「しっかり食べて、夏の暑さや冬の寒さ、そしてあらゆる外敵にも負けない強靭な肉体をつくるんだ」

「お前たちの食事の世話をしてくれる人はいる。だからといっていつもお前たちを護ってくれる訳じゃない」

「野良猫にとっての拠りどころは、結局自分自身しかないんだ」


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ふたりがまるで本当の母子のように食事する光景を見て、私は少し安心した。
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リンが傍にいてくれれば、幼い灰シロ猫の孤独感はいくらか和らぐかもしれない。


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帰途について頭上を見あげると、鈍色の分厚い雲が海岸の空を覆いはじめていた。

《 またぞろ天気が崩れるのかもしれないな 》今日も未明まで雨が降っていた。

雨が降るのは仕方がないけれど、私としてはこれから降る雨は冷たい雨ではなく、できれば春本来の暖かい雨であってほしいと思う。

外で暮らすすべての猫たちのために‥‥。



〈了〉


脚注
※〔1〕どうしても相性が合わない場合は部屋を別けるなどして対応する
※〔2〕私が知るかぎりにおいては成功率はかなり低い。

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思慕 (前編)




前回の話で紹介したシャムMixや黒猫、茶トラがどういった経緯で海岸へやってきたのか、実際のところは私にも分からない。

ただ幼いアメショー柄のキジ白の子の場合は、自らの足で海岸へ来ることなどありえないので、飼い主の手によって遺棄されたと断言できる。

動物愛護法の罰則が強化されても、この手の “犯罪” はいっこうになくならない。

悲しくてやりきれないことだけれど‥‥。


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そしてここにも、ニンゲンの手によりゴミのように捨てられた子がいる。


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以前『ニューカマー』で紹介した灰シロ猫だ。

あの時点では、この幼い猫がどういういきさつでこのエリアに住みつくようになったのか分からなかった。


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その後、複数の関係者に訊いたところ、この灰シロ猫は2015年の11月にいきなりこのエリアに現れたと言う。

とすれば、月齢にして2~3ヵ月のころだ。


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生後2~3ヵ月の仔猫が自ら交通量の多い国道を渡って海岸へ来ることなど常識では考えられない。


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つまりは、この灰シロの子も酷薄なニンゲンによってここに捨てられたのだ。


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おそらくそのニンゲンは、飼い猫が産んでしまったけれど何らかの理由で飼えなくなったこの子の処置に困り、エサ場がある海岸なら生きていけるだろうと安易に考えたのだろう。

だが‥‥。


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海岸の実情を知っている者なら誰しもが、ここは猫の楽園などではけっしてなく、並外れた生命力とよほどの強運を持ちあわていなければ生き抜いていけないトコロだと確言するはずだ。

大半の海岸猫は2年を経ずに海岸から姿を消してしまい、その後の彼・彼女らの消息は杳としてつかめない。


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だからこの灰シロ猫がこのまま海岸で2歳をむかえられるかどうかは、ひとえにこの子自身の力と運にかかっているのだ。

世話をするボランティアの人たちは食事は与えてくれるけれど、海岸猫を直接守ってはくれないのだから。


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灌木の茂みの中から姿を現したのは、このエリアの最年長猫であるリンだ。

(先ほどちらりと姿を見せたのはリンの娘のサキだが、いつの間にか姿を消した)


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リンの後ろ姿を見つめながら、灰シロの猫は尻尾を高くあげて身構えている。

その表情は何か良からぬことを企んでいるように見える。


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そんな灰シロ猫を一顧だにしないで、リンは足早に私の脇をすり抜けていった。


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灰シロ猫もリンのあとを追って、私の目の前を確固とした足どりで横切っていく。


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このふたりはもちろん血縁関係にはないが、灰シロ猫が一方的にリンを慕っているフシがある。


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今も、リンが見ているのをじゅうぶん意識して、いかにもかまってほしそうに身体を横たえている。

まあそれも無理からぬことだと私は思った。


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なんとなれば母に甘え、兄弟と遊びたい時期に、その家族と無理やり引き離されたのだから。


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しかし、そんな灰シロ猫を見つめるリンの表情は思いのほか険しい。

前回このエリアを訪れたときも、リンは灰シロ猫にまったくといっていいほど関心を示さなかった。

これまで常に身内と暮らしていたリンにとっては、幼いとはいえやはりよそ者の猫は疎ましい存在なのだろうか。


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そのとき、我々のあいだを散歩中の犬が駆け抜けていった。

「ごめんなさい」と飼い主の女性が一声残して。


リンと灰シロ猫は犬の接近を察知すると、私の目の前からあっという間に姿を消してしまった。


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灰シロ猫はすぐそばの灌木の茂みに身をひそめていた。

まれにみる大胆不敵な灰シロ猫も、さすがに犬は苦手なようだ。


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今までも散歩中の犬が通りかかるたびに、さっきのように素早く身を隠していたのだろう。

不謹慎な飼い主は、大型犬であってもノーリードで散歩させるから用心するに越したことはない。


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保護されたサンマのように犬に襲われて大怪我をする場合だってある。

私自身も何度か目撃したし、話にも聞いているが、飼い主の中には海岸猫に犬をけしかける悪質な輩もいる。


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野良猫にとって海岸は、野生動物などの通常の外敵以外にも警戒しなければならない敵がいる場所なのだ。

家猫の平均睡眠時間が14時間なのに比べて、野良猫のそれは8時間ほどだというのもうなずける。

こんな環境にあってはうかうか寝てなどいられないだろう。


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避難していた灌木から姿を現したリンを出迎えるように、灰シロ猫は近づいていく。

そんな灰シロ猫にリンはどんな対応をするのだろう。私としては何らかのリアクションがあることを期待してファインダー越しに注視した。

ところが‥‥。


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「ジャマだからどきなさい!」とばかりに一睨して、リンは灰シロ猫を退けてしまった。

高圧的なリンの態度にあって、幼い灰シロ猫はひるんでしまう。


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「やれやれ‥‥」リンのにべもない対応に私は思わず苦笑いをもらした。


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けれど私の見るところでは、リンにつれなくされたことで灰シロ猫がめげている様子はない。


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まだ何かを目論んでいる雰囲気すら感じられる。


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ふと前方を見やると、灌木のあいだからサキが顔をのぞかせていた。


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何やら物言いたげな表情でこちらを様子をうかがっている。


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きっとリンの側にいることが嬉しくて仕方ないのだろう、灰シロ猫は跳ねるように走りまわる。


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だがリンはそんな灰シロ猫をちらりと見ただけで、取り合おうともせず毛づくろいを始めた。


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灰シロ猫はリンを見据えたまま姿勢を低くして身構え、尻を小刻みにふるわせている。

《おいおい、そんなことして大丈夫なのか?》これから起こるであろうことを予期して、私は胸のうちに一抹の不安を覚えた。


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だがそんな私の心配をよそに、灰シロ猫はリンを目がけて猛ダッシュした。


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灰シロ猫の突進を察知したリンは寸前で身をひるがして回避する。

が、灰シロ猫は委細かまわず再びリンに躍りかかった。


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なおも執拗にリンのあとを追う灰シロ猫。


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防砂ネットが邪魔をしてどういう状態かよく分からないが、ふたりの身体がもつれあう。

ただどちらも鳴き声は発していない。

生まれてからの3年間をホームレスの飼い猫として暮らし、その飼い主が海岸を去ってから今までの3年間を野良猫として暮らしてきたリン。

基本的には温順な性格だが、ぶしつけなマネをした我が子に猫パンチを放つ場面を何度か目撃している。

そんなリンのことだから、じゃれついたとはいえ、いきなり飛びかかってきた灰シロ猫に何らかのお仕置きをする可能性はじゅうぶんに考えられた。



〈つづく〉



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思慕 (中編)




飼い主の手により防砂林に遺棄された灰シロ猫は寂しさのためか、エリア最年長のリンにまとわりつく。

しかしそんな灰シロ猫にリンはまったく取りあわず、一貫してつれない態度で接している。

リンの態度が我慢できなくなったのか、灰シロ猫はいきなり飛びかかるという少々荒っぽい手段に出た。

そして私の目の前でふたりの身体がもつれあう。


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急いで防砂ネットの反対側へまわりこんでみたら、憮然とした顔で防砂林から出てくるリンと鉢合わせするかっこうになった。

三角の眼をしたリンの迫力に気圧されて、私はおもわず後ずさりする。


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ややあって灰シロ猫も防砂林から出てきた。

さっきリンに飛びかかる前に見せた溢れんばかりの血気はあらかた消えている。


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しかし気持ちの切り替えにそれなりの時間を要するニンゲンに比べて、猫は気散じをいとも簡単にやってのける。

こうしてちょこちょこっと毛づくろいをするだけで、直前の出来事をきれいさっぱり忘れることができるのだ。


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灰シロ猫は前方を見つめ、迷いのないしっかりとした足どりで私の目の前を横切っていく。


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防砂ネットをあいだに挟んでいるが、リンと灰シロ猫の距離は2メートルほど。

灰シロ猫の心情としては、触れ合えないまでもできるだけリンのそばにいたいのだろう。


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リンが動くと、灰シロ猫はすぐにそのあとを追っていく。


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しかしリンはそんな灰シロ猫に見向きもしないで防砂林の中へと進んでいった。

リンの無言の圧力にひるんだのか、灰シロ猫はリンのあとを追うのをあきらめた。


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とはいっても、やはりリンのことが気になるらしく、灰シロ猫は防砂ネット越しに様子をうかがっている。


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猫の視力はニンゲンの10分の1程度であまり良くはなく、遠くのものをはっきり認識できない。

ただ動いているものを感知する能力は優れているし、暗視能力はニンゲンの6倍という高い性能を誇っている。


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猫の視力に関するこれらの能力は、暗闇でちょこちょこと動く小動物を捕獲するために備わったものだ。

明るい環境で、なおかつ目の細かいネット越しという条件で、灰シロ猫はその能力を存分に発揮することができるのか、私にはもちろん分からない。


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やがて灰シロ猫はネット越しにリンの様子をうかがうのをやめた。

老練なリンのことだから灰シロ猫に見られているのを察知して、自分の動きをさとられないように距離をとるか、物陰でじっとしているのかもしれない。


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いつの間にかサキがこちらがわの防砂林に移動してきていた。

灰シロ猫はリンを見失ったので、サキをつぎの標的にするつもりなのだろうか。


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腰を下ろそうとした灰シロ猫だったが、何故か途中でその動きをとめた。

そして灰シロ猫は、私の背後に意味ありげな視線を投げかける。


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そんな灰シロ猫の変化に気づいたのだが、私はあえて後ろを振りかえらずに灰シロ猫の動きを追うことに集中した。

こういった複数の猫がいる状況では、どの猫にレンズを向けるべきかしばしば迷う。

とどのつまりは自分の勘だけを頼りに被写体を決めるのだが、気まぐれな猫が相手なので決定的瞬間を撮りそこねることなど日常茶飯だ。


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果たして私の判断は吉と出るのか凶と出るのか‥‥、それはひとえにこの幼い海岸猫の行動にかかっている。

灰シロ猫は視軸を微動だにもさせず、身体をぎゅっと縮めた。

その様子はギアをローに入れ、最大トルクが発生する回転数までアクセルを噴かして、クラッチをつなぐタイミングを見計らっているドライバー・ライダーを連想させる。


記事の内容とはまったく関係のない余談だが‥‥。(ですからこの部分を飛ばしても差し支えありません)
私が最初に購入したバイクは中古のカワサキ・マッハⅢの初期型で、「曲がらない」「止まらない」と評されるくらい、ただ速く走ることだけに特化した、今考えるととんでもない代物だった。
排気量500cc、空冷2ストローク並列3気筒のエンジンは7,500rpmで60hpをたたき出し、発売当時は世界最速の200km/hを誇っていた。
最大トルク5.85kg-mは7,000rpmで発生し、とにかくピーキーなエンジンで4,000rpm以下はほとんど使いものにならなかった記憶がある。
ただし高回転を保っていれば凄まじい加速感を体験でき、煙幕と見まがう白い排気煙を吐きながら、3気筒エンジンが「シャーーーンッ」という独特の甲高い金属音を発するころには、ライダーを異次元の速度へといざなってくれる。
その特性や事故率の高さから「じゃじゃ馬」「◯チガイマッハ」「後家づくり」などと称されたマッハⅢだったが、上京する際に手放すまで、私にとってはかけがえのない相棒でありつづけた。
比喩としてエンジンについて述べているうちに、ふとそんなことを思い出した。
閑話休題。



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数秒後、灰シロ猫は全身にためこんだ力を一気に噴き出して “発進” した。


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私の判断は間違っていなかったが、いかんせん被写体との距離を読み違えてしまい、素早い動きについていけず、横切るリンがフレームに入りきらなかった。

カメラに不慣れな私にとってはこういう初歩的なミスもまた、日常茶飯なのだ。


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リンが一目散に逃げていく。そしてそのリンを灰シロ猫が懸命に追う。

こうしてリンと灰シロ猫の追走劇が再びはじまった。


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早くもスタミナが切れたのか、リンが速度をゆるめる。

そのせいでリンと灰シロ猫の間合いは一気に縮まった。


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と、ここでリンは不意に足をとめて後ろ脚で立ち上がった。

いっぽうの灰シロ猫は、さながらトップギアでアクセルを全開にした伝説のバイク『マッハⅢ』のように「曲がらない」「止まらない」状態におちいったのか、そのままの勢いでリンを追い抜いてしまう。


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リンは防砂ネットに飛びつくと、18本の鋭い爪を巧みに使ってするすると登っていく。

小柄な身体をもち、なおかつ身軽さが持ち前のリンだからこそできる芸当だ。

それにしても‥‥、と私は首を傾げた。


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リンはどうして灰シロ猫の近くに戻ってきたのだろう?

あのまま離れたところへ移動していれば、こんな追走劇を演じなくてすんだはずなのに。

このエリアにはリンのお気に入りの場所がいくつかあって、そこでくつろいでいる姿をよく目にしていたから、私にはリンの行動が不可解に思えてならない。


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3~4メートルほどの距離で対峙するリンと灰シロ猫。

灰シロ猫は防砂ネットを背にして身構え、リンは道路のまん中で自若としている。

この光景を見るかぎりはリンの方が優位に立っているし、実際の年齢を考えてもリンが上の立場にいるはず。


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ただ雌であるリンと雄である灰シロ猫とでは年齢の差ほどに体力や膂力に差があるのかと問われたら、私は「分からない」と答えるしかない。


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リンの行動はやはり私には理解できなかった。

先に述べたように、追われて逃げるくらいなら灰シロ猫の目の届かないところにいればいいと思うのだが、何故あえて戻ってきたのだろう?


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それに灰シロ猫が近づいてきても、こうして睨みを利かせれば済むことなのに、とも思うのだが。

とはいえ、融通無碍を旨とする猫の行動からその心理を探ろうとする試み自体が無謀で不遜なことなのかもしれない。

「何を考えているのか容易に分からない」というのも、猫がもつ魅力のひとつなのだから。


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灰シロ猫はリンの鋭い一睨にあって、今度こそリンに近寄るのをあきらめたようだ。

さっきまでとは違い、とぼとぼとしたいかにも元気のない歩き方からもその落胆ぶりがうかがえる。


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防砂ネットを通してぼんやりとサキの姿が見える。

しかし灰シロ猫はそのサキの姿を捉えられないのか、明後日の方を向いている。


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私は防砂ネットの反対側にまわってサキの様子をうかがった。

そのときだった‥‥。


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私の横を一陣の風のように、リンと灰シロ猫が走り抜けていったのは。

《いやはや、追走劇に三幕目があるとは‥‥》」私は半ば呆れて、その場でふたりを見送った。

「ひょっとしたらリン自身も灰シロ猫に追われることを愉しんでいるのかもしれないな」などと、性懲りもなくリンの心情を忖度しながら。


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しばらくして道路に出てみると、ひとりで引き返してくる灰シロ猫の姿があった。


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どうやらリンは灰シロ猫の追走を振り切ったようだ。

このエリアに精通しているリン、おそらく彼女なら状況に応じた逃走経路をいくつか知っているだろうから、今度こそは防砂林の奥にでも身を隠したのかもしれない。


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いきなり走り出した灰シロ猫。しかし灰シロ猫の前方に追いかける対象物は何もない。


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見るからに活力と鋭気があり余っている感じの灰シロ猫にとっては、防砂林の一画でただじっとしているなど苦痛以外のなにものでもないのだろう。


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サキ以外のふたりは “適度な” 運動をしたので、私はこのタイミングで食事を与えることにした。


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血気盛んな灰シロ猫も、さすがに猫缶をほお張るときは他のことなど目に入らないようだ。


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まだ成長に伸び代があるサキと育ち盛りの灰シロ猫は、咀嚼するのもどかしげに猫缶をつぎつぎと腹に収めていく。

それとは対象的に、リンは猫缶を一口一口味わいながら食べている。


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実の母娘であるリンとサキに挟まれて食事する灰シロ猫、この “席順” は私が企図したわけではなく、海岸猫たち自身が選択した。

このことだけでエリアの先住者であるリンとサキの母娘が新参者の灰シロ猫をこころよく受け入れていると判断するのは早計かもしれない。

けれど目の前の光景は、灰シロ猫の行く末に淡い陽の光が射しているような印象を私に与えてくれる。



〈つづく〉



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思慕 (後編 1)




捨て猫の灰シロ猫はリンを執拗につけまわし、挙げ句のはてには逃げるリンを猛追する始末だ。

ただ、もしかしたら灰シロ猫はリンの姿に生き別れた母の面影を重ねているのかもしれない、と私には感じられた。

そしてその追走劇が収まったのを機に、私は海岸猫たちに食事を与えることにしたのだが‥‥。


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食べ盛りのサキと灰シロ猫はやはり食欲旺盛で、脇目もふらず一心不乱に猫缶をほお張っている。

とくに灰シロ猫の食べっぷりは凄まじく、猫缶が見る見るうちに呑みこまれていく。

まるでその身体の中に小さなブラックホールがあるかのように。


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一方リンはあくまでも鷹揚にゆっくりとしたペースで食べつづけている。


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私が用意したトレイはいたって軽い代物で、それがために灰シロ猫の鼻先に押されて徐々に前へ移動していく。


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灰シロ猫の食べる勢いは少しも衰えを見せず、猫缶をひたすら貪りつづける。


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そうこうしているうちに灰シロ猫は自分の分の猫缶を完食してしまった。

食べはじめてからここまで2分も経っていない。


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となりのリンはまだ3分の2ほど猫缶を残しているので、灰シロ猫がいかに速いペースで食べたのかがよく分かる。

そのリンのトレイをちらりと横目でうかがう灰シロ猫。それにつられるようにリンも顔をあげる。


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そしてリンは灰シロ猫に呼応するように、自分のトレイから離れて灰シロ猫のトレイに近づいていく。

「あっ、まただ」私は思わず声をあげた。


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野良となってからは常に家族と暮らしていたリンだから、たいていの場合相手は自分の子供だったが、彼女がこういう割に合わないトレードをする場面に私は幾度か遭遇している。

おそらくリンの母性本能がなせるわざなのだろうが、それでも今回ほどアンフェアな遣りとりを目撃した記憶はないと思う。


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僅かばかりのかけらが底にへばり付いているトレイを前に、リンは呆然と立ちつくしている。

しかし、たとえそれが不当な交換であっても、温順で寛容なリンが灰シロ猫から自分のトレイを取りかえすような行動に出ることはけっしてない。


私は持参していた予備の猫缶を開け、3つのトレイの中身が均等になるようにつぎ足した。


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ところが、新たな猫缶を盛ったトレイに近づいてきたのはサキだけだった。


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リンは私が猫缶を用意しているあいだにその場を立ち去り、少し離れた防砂林の一画に腰を下ろして、あたりにぬかりなく目を配っている。


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育ち盛り、食べ盛りの灰シロ猫もさすがに腹が満たされたのだろう、リンのあとを追うようにエサ場を離れていく。

灰シロ猫の足取りは迷いのないしっかりとしたもので、猫缶への未練など微塵も感じさせない。


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ニンゲンの中には食い意地が張った強欲な輩もたくさんいるが、猫にはそういう傾向はなく、実に恬淡としている。

だから今回の灰シロ猫のように、たとえ目の前に食べ物があっても必要以上に摂食することはない。


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というのも、そもそも猫は少しの量を何度かに分けて食べる食性を持っていて、いわゆる「一気食い」や「まとめ食い」はしない。

(だいたい過食が原因で身体を重く感じて機敏に動けなくなったら、家猫はともかく外敵の多い屋外で暮らす野良猫にとっては一大事である)

その猫の食性を無視して、ニンゲンと同じように時間を決めて食事を与えると、攻撃的になったり協調性をなくしたりすると言われている。


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更に食事の間隔をあけると一度に食べる量が増えてしまい、結果として尿pHの変動が大きくなり健康を損ねる原因にもなりえる。

このようにニンゲンの食生活をそのまま猫にまで押しつけるのは、彼らからすれば迷惑千万なことなのかもしれない。

ちなみに、8年前に海岸で保護した我が家の愛猫には、好きなときに好きなだけ食べられるようにキャットフードを食器に置きっぱなしにしているが、彼女は当初のスリムな体型を今も維持し、そしてこれまで病気ひとつせず健康状態もきわめて良好だ。


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ひとり黙々と猫缶を食べつづけるサキ。

やはり若いサキなどは、この時刻(夕方)になるとどうしても腹が減ってしまうのだろう。


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面識がなくたがいにその存在を知らない場合もあるが、たいていのエサ場には複数のボランティアの人が関わっている。

そしてこれは面識がない理由でもあるのだが、朝・昼・夕方以降というように、その人たちはそれぞれの事情によって海岸を訪れる時間帯が違う。

つまり海岸猫の多くは、日に2度は食事をもらっている。


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すると、先に述べた「少量を何回かに分けて食べる」という猫の食性とは合致しないことになる。

だったら置き餌をすればいいのでは、と考える方もいらっしゃるだろうが、事はそう簡単に運ばない。

なんとなれば防砂林の中にあるエサ場には、「置き餌」をしようと思ってもできない理由があるからだ。


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灰シロ猫は頭上を見あげながら甲高い鳴き声を発した。


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そしてつぎの瞬間、灰シロ猫はいきなりジャンプすると、近くにあった松の枝にしがみついた。

「ひょっとして、これは腹ごなしのためのいわゆる『食後の運動』」ってヤツか?」


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木登り巧者のリンが見せる華麗さや軽快さといったものは灰シロ猫には具わっていないが、幼いとはいえそこは男子、力にまかせた強引な登り方をする。


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「しかし、ホントにじっとしていられないんだな、この子は」私がこのエリアを訪れてからここまで、灰シロ猫は5分とひとところにじっとしていない。

灰シロ猫自身の意思とは無関係に、まるで英気や生命力が身体を勝手に動かしているような印象すら受ける。


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最後まで猫缶を食べていたサキも腹がいっぱいになったのか、悠然とした足どりでエサ場を去っていく。


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結局、つぎ足した猫缶をそっくり残した感じだ。けれど、とくだん驚くことではない。

なぜなら、はじめに与えた猫缶を海岸猫があっというまに平らげたので、ならばとお代わり出すと、まるで手のひらを返したように見向きもされないという経験を何度もしているからだ。


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おそらく今まで樹上から海岸猫たちが食事する光景を観察していたのだろう、サキがトレイから離れるとすぐにカラスが舞いおりてきた。

先述した「防砂林の中にあるエサ場では置き餌ができない」のは、このカラスの存在があるからだ。

彼らは何処に海岸猫のエサ場があるのか、また誰が食べ物を持ってくるのかをしっかりと記憶している。

そして隙あらばいつでも海岸猫の食事を奪取してやろうと、高所から給餌の様子をうかがっているのだ。



〈つづく〉



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さて、今年も寒い季節が到来しました。

そこで‥‥。

昨年も取りあげた日産自動車が提唱している『#猫バンバン プロジェクト』を紹介します。


#猫バンバン プロジェクト



外で暮らす猫たちは寒い冬場に暖かさを求めて、停まっている車のエンジンルームや
足回りに潜りこむことがある。


それを知らずにエンジンを始動すると、猫が負傷したり、最悪の場合は死亡します。

実際に駐車中の車にひそんでいたふたりの海岸猫(ミイロ・シシマル)が
発進した車のタイヤに轢かれて死亡し、
ひとりの海岸猫(カポネ)が始動したエンジンで怪我をしている。


そんな事故を防ぐため、 “エンジンをかける前” にボンネットを叩いて猫たちの命を救うのが
『#猫バンバン プロジェクト』の趣意です。


『#猫バンバン プロジェクト』の詳細は下の画像をクリックしてください。
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思慕 (後編 2)




強固なカラス対策をしないと、防砂林の中にあるエサ場に置き餌はできない。

そして防砂林という場所においては、奸智に長けたカラスを完全に排除することは不可能にちかい。


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カラスは霊長類に匹敵するほど知能の高い動物として知られているが、家族間や仲間間での情報伝達能力にも長けていることが分かっている。(私も薄々気づいていた)

つまり彼らは我々ニンゲンと同じように情報の共有と拡散を行っている数少ない生き物なのだ。


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「生きていくためにお前たちも食べ物を必死で探しているんだろうけど、この場所で容易に手に入るなどと、持ち前のよく通る声で仲間に喧伝されてはちと困るんだ」

「悪いけど、余った猫缶はこっちで処分させてもらうよ」


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「行きはよいよい、帰りはこわい」という『通りゃんせ』の歌詞ではないが、猫は木に登るのは得意でも木から降りるのは不得手で、ときとして自力で降りられなくなることすらある。

なかんずく外敵などの追撃にあってやみくもに登った場合、こういった悲劇に見舞われる。

これは何も木に限ったことではなく、建物の屋根や庇などの高所であれば起こりえることだ。


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垂直にちかい枝から難なく地面におりた灰シロ猫。この子は腕白なだけあって優れた運動神経を持っているようだ。

この能力は野良として生きていくうえで貴重な資質であり、将来においてはこの先灰シロ猫の命運を左右するかもしれない、と私は思った。


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ちなみに、サキは木登り巧者のリンの娘でありながら木登りがあまり得意ではない。

リンのあとを追って木に登っても、途中であきらめて引き返すサキの姿を何度も目にしている。


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先ほどは「食べ盛り」の実際の食べっぷりを披露してくれた灰シロ猫だが、今度は「遊び盛り」の実際の遊びっぷりを披露してくれるようだ。

たとえ相手がいなくても、猫は『単独遊び』という独自の遊びを心得ている。


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灰シロ猫の場合は虫を捕まえてもてあそんでいるのかと思ったのだが、どうもそうではないようだ。

動きが速くて見定められないのでファインダーから眼を離して肉眼でよく見てみると、薄くて黒っぽい物を懸命につかみ取ろうとしている。


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「枯れ葉‥‥?いや、羽根だ」、灰シロ猫はカラスの羽根をオモチャにして遊んでいた。

健康な成猫にとってカラスはあまり脅威とはならないが、身体の弱った成猫や仔猫にとっては獰猛な捕食者となりえる。

そんなカラスに日頃の恨みを晴らす代わりとして、灰シロ猫は彼らの羽根を仮想の敵と見なしているのかもしれない。


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それにしても、この幼い海岸猫は実にアクティブでタフだ。

身体の内側に自分でも抑制できないほどのエネルギーが湧きおこり、それが奔流となって外へほとばしり出ている感じだ。

忘我の境というかトランス状態というか、はた目には恍惚として踊っているように見える。


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単独遊びは多くの場合、このように適当な小物を獲物に見立てて捕獲のシミュレーションを行うのだが、猫はたとえ何もなくても頭のなかに描いた架空の状況で遊ぶことができ、その行動を『空想遊び』と呼ぶ。


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灰シロ猫はカラスの羽根にじゃれるのを止めると、いきなり防砂ネットに駆けあがった。

防砂ネットにそれらしい “標的” が見あたらないところをみると、これが灰シロ猫なりの『空想遊び』かもしれない。


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灰シロ猫は頭のなかに何を思い描いているのだろう?

私には見えないが、真剣な表情から推すと、おそらく灰シロ猫の眼には自分で想定した獲物がはっきり見えているようだ。


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猫は耳の奥にある三半規管の働きだけでなく、視覚で水平を検出する能力に秀でていて、これにより空中で上下を素早く判断して足から着地することができる。

(まったくの余談で恐縮だが‥‥、この能力を極めた猫としては、漫画『いなかっぺ大将』において、主人公の大左衛門に『キャット空中三回転』という受け身を伝授したニャンコ先生をつい思い出してしまう)


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視線を前方の一点に集中する灰シロ猫‥‥。どうやら彼の眼はあらたな “仮想の獲物” を発見したようだ。

私はカメラのズームを広角側にして、灰シロ猫のつぎの行動に備えた。


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ところが灰シロ猫は、私の予想に反して視線とはまったく違う方向へ駆け出した。


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そして地面に転がっていた、小石とは言えないそこそこ大きな石をかかえこんだ。

猫の行動を予測するのは容易ではない、と私はあらためて思い知った。


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さらに半ば感嘆しながら思う‥‥、この子の辞書にはそもそも『疲弊』とか『困憊』という文字はないのかもしれない、と。


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『単独遊び』は、兄弟のいない仔猫や何らかの理由で疎外された仔猫がよく見せる行動だと言われている。


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考えてみれば、生後2~3ヵ月で親兄弟から引き離されて此処に遺棄された灰シロ猫の場合は、好むと好まざるとにかかわらず、独りで遊ぶしかなかった

それというのも、排斥こそされていないが、灰シロ猫はリンとサキの母娘から無視に近い扱いをうけているからだ。


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今まであまり使う機会がなかったのだが、私のバッグには猫缶と一緒にこんな物も入っている。

まだ遊び足りない顔をしている灰シロ猫に私は言った。「そんなの遊びたいのなら、私が相手をしてやろうか?」


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「おっと、そんな簡単に掴んではつまらない。もっと楽しまないと‥‥」

灰シロ猫がポンポン様の玉に触れた瞬間、私は猫じゃらしを素早く引きあげた。


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捕まえたと思った玉がするりと逃げたので、灰シロ猫もにわかに本気モードになったようだ。

舌なめずりをする顔からは、「今度こそは」と捲土重来の機会をうかがう意志がありありと見てとれる。


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俊敏な猫を相手に、それも元気があり余っているこの子を相手にして、撮影をしながら左手だけで猫じゃらしを操るのはいささか心許ない。

またそんな半端な姿勢は、真剣になっている灰シロ猫に対しても非礼にあたるというもの。

そこで私はカメラをバッグに収め、本腰を入れて灰シロ猫と遊ぶことにした。

ということで、これ以降の写真はない。


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灰シロ猫とひとしきり遊んだあとで海岸に出ると、夕日があたりを朱色に染めあげていた。

そして心地良い疲労感を覚える私の身体もまた、同じ色に彩られた。



〈了〉



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さて、今年も寒い季節が到来しました。

そこで‥‥。

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