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Author:wabi


治療の一環として始めた海岸散策
そこで知り合った海岸猫たちと交流を
深めるうちに彼らの魅力に心惹かれて2009年10月に旧ブログを開設

そして2015年9月に当ブログへ移転

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★プロフィール写真は元海岸猫の愛猫

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生きぬいている野良猫たちの哀切物語

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その国における動物の扱い方で判る

迷い猫を捜しています
どんな些細な情報でもイイので


2010年1月23日
東京都荒川区東日暮里で行方不明
詳細は画像をクリックしてください


2012年8月5日
名古屋市緑区姥子山鳴海グランドで
行方不明
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ツバサの旅立ち その弐『偉大な母』

2010年11月28日、ここへ遺棄された直後のツバサは、自分が何故こんな目に遭ったのか理解出来ずに悲しげに鳴きつづけていた。
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そして周りの野良たちを恐れて、ただただ怯えていた。
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この時のツバサもある意味主役だったが、今回は栄えある本当の主役を務めることになる。



その主役の周りへ徐々に人が集まってきた。
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この後、自分の運命に大きな影響を与える出来事が待っていることを知らないツバサは、いつもと変わりない様子だ。


チャチャさんがそんなツバサにそっと手をさしのべる。
ツバサがここへ遺棄されて以来、チャチャさんはずっとこの子のことを気にかけていた。

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この子を何とかしてここから引き取りたいと、周りの人たちにも公言していた。


しかし当時のチャチャさんの住居はペット不可だった。
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そこでまず、ご主人を説得し、ツバサのためにペット可の物件を探しはじめた。


そして先月やっと希望通りの物件が見つかり、今月の中旬に引越しを完了させ、この日ツバサを迎えに来たのだ。
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1匹の野良のためにここまで熱意を持つ人がいることを、私は初めて知った。
ツバサに係わる人たちの想いも同様で、だから皆安心して彼女にツバサを託せるのだ。



syokoさんのご主人がもつ草のじゃらしに反応するツバサ。
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こういう光景を見ていると、ツバサはまだまだコドモだな、と思う。


これからはチャチャさんがツバサの遊び相手になる。
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そのチャチャさんは、船宿前でマサムネの体をブラッシングしている。
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チャチャさんは本当に猫が好きなんだなぁ、とつくづく感心させられる。


ミイロとの別れを知らないはずのツバサだが、
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この時は執拗に“母”の後を追っていった。


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ミイロの側でのんびりと毛繕いをはじめるツバサ。
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そのツバサをじゃらしでおびき寄せるIさん。
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そして隙をついて、すばやくツバサをキャリーケースの中へ。


捕獲をどうしようかと頭を悩ませていたので、こうもあっさりとキャリーに収まると、少々拍子抜けがした。
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ツバサは自分の身に起こったことを悟ると、激しく鳴きはじめた。



そのツバサの叫び声を聞きつけたマサムネが心配顔で駆けつけてきた。
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「マサムネ、大丈夫だよ。ツバサは野良を卒業し、元の家猫に戻るんだから」


ミイロもツバサの異変に気がついたようだ。
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キャリーケースに近づくと、複雑な表情を作り、しばらく扉越しにツバサの様子を窺っていた。


ところが、ふいにキャリーケースから離れると、
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あらぬ方向を眺めはじめた。


ツバサの鳴き声は耳に届いているはずなのだが、ミイロはそのままの姿勢で動かない。
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利口なミイロのことだから、ツバサの身に何が起こっているのか分かっているのかもしれない。


そのうちミイロはおもむろに立ちあがると、
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ツバサの声に背を向けて歩き去ってしまった。


そこへボランティアのSさんも駆けつけてきた。
「この子がいなくなるのは寂しいなぁ」とSさんは言った。

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最近ではすっかりこのエリアのレギュラーの中核になっていたツバサだから、Sさんの想いも複雑なのだろう。


この頃になると自分の運命を受け容れたのか、ツバサは大人しくなっていた。
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そこへ再びミイロが近づいてきた。


もう一度ツバサの顔を見たかったのだろう。
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ツバサも、7ヶ月の間“母”と慕ったミイロの顔をじっと見つめている。


ついにチャチャさんがエリアを去る時間がやってきた。
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チャチャさんは、ツバサが収まったキャリーケースをそっと持ち上げた。


そして世話になったSさんとキャリー越しに挨拶をすると、
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ツバサはチャチャさんに抱かれて、エリアを後にした。
「さよならツバサ、幸せになるんだよ」



雰囲気を変えるため、残った野良たちに食事を与えた。
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ただ独りミイロだけは食事に関心を示さず、ツバサが去った方向へ歩いていく。
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しばらくその場へ佇んでいたミイロだったが、


既にツバサは自分の手の届かないトコロへ行ったのを悟ったのだろう、くるりと身を翻した。
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このミイロの表情が何を語っているのか、敢えて私の感想は述べないことにする。
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ミイロはゆっくりとした足取りでエサ場の方へ歩きだした。


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食事を終えた野良たちも、船宿前から姿を消していた。


先月の白猫につづいて、本当の我が子のように世話をしていたツバサにも去られたミイロの心に去来するのは何なのか?
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そんな彼女を慰める言葉を、私は持っていない。


ただこれだけは言える。
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「ミイロ、顔をあげろ!塞ぎこんでいるなんてお前らしくないぞ」


「お前はこのエリアで唯一の“母”だ」
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「それも偉大な母なんだぞ!」


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緊急告知
しばらくの間ブログを休載します。


私が睡眠障害に苦しんでいることは、このブログで何度か報告しましたが、今年の2月からその症状が悪化し、睡眠導入剤を服用しても眠ることが出来なくなりました。
その影響で海岸を訪れる回数もブログの更新頻度も少なくなってしまい、私としても不本意な時間を過ごしてきました。

ブログ内容に係わりがなく、極めて個人的な事柄なので敢えて発表しませんでしたが、心療内科の医者に言い渡された病名は “ 鬱病 ” でした。

当節ではこのことで白眼視されることも、逆に同情されることもない、ごくありふれた病です。
知人に言わせると「心が風邪をひいたようなもの」だそうです。
それに私の場合はうつの原因がはっきりしているので、長く患うことはないとタカをくくっていたのですが、医者にかかって既に3年‥‥、少々辟易としてきました。


ただ唯一、この病気に感謝していることがあります。
そもそも私が海岸へ出かけるようになったのは、「毎日散歩しなさい」という医者の勧めがあったからで、それによりそこに棲む海岸猫たちと触れ合うようになり、果てはミケという稀代の野良と運命の出会いをすることになったからです。

でもこの病のせいで、私の生活は様変わりしました。
もちろん良い方向へではなく、悪い方向へ、です。
そしてそのことがまたうつを悪化させるという‥‥、まさに負のスパイラル状態。
去年の秋に胃潰瘍を患ったのもこの悪循環の所業でした。
その後も具体的な打開策が見つからず、眠れぬ日を無為に重ねてきましたが、それもそろそろ限界に近づいてきました。

そこで今回、静養を兼ねて帰郷することにしました。
実はこのことを考えだしたのは、5月の初旬頃で、私にとっては予定の行動なのです。
期間はまったく白紙状態ですが、数週間に及ぶのではと漠然と想像しています。
実家にはネット環境が無いですし、ネットカフェの狭い空間に閉じ籠るのは静養に良いとも思えないので、しばし世俗から離れた暮らしに身を委ねることにします。
(やはりネットから隔絶した生活は刺激が無さ過ぎるので、時折ネットカフェから世間の動向を窺うことにしました)



ところが、ここまで書いているところへ、父が肺炎のため緊急入院しICUに移されたと母から電話がありました。
年齢を考えると予断を許さない状態だそうです。
当初の予定では梅雨が明けたら帰郷するつもりで、この告知もそのために準備していたのですが、急遽予定を繰り上げることにしました。


では皆さま、暫時お別れです。


管理人:wabi




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ツバサの旅立ち

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船宿エリア
願いが届いたのか‥‥、朝まで降っていた雨はあがっていた。

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ところで、今日の主役は何処にいるのだろう?


ミイロが独り船宿前にいたが、残念ながら彼女は捜している主役ではない。
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そのミイロは険しい眼つきで前方を凝視している。


そしてやおら立ちあがると‥‥、
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船宿とブロック塀が作る隙間に向かって慎重に足を運びはじめた。


その隙間に1匹の野良の姿が見える。
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それは茶トラだった。
ここ数ヶ月、この時刻に殆ど姿を見せなかったのだが、最近の出現率はそこそこの高さを誇っている。むろんこの茶トラも今日の主役ではない。



そこへふいにアイが現われた。
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「アイちゃん、悪いけど捜しているのはキミでもないんだ‥‥」


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シロベエ‥‥、申し訳ないが、お前が主役になることはとうぶん無さそうだ。


休日とあって、釣宿前は釣客で賑わっていた。
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「いた!」
今日の主役がブルーシートの上で独り寛いでいた。



この子がいないと、今日の行事は成立しない。
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“好事魔多し”‥‥この日のことが決まってから、私の頭の隅には、常にこの言葉が居座っていた。


いつもと変わりないツバサの姿を見て、私は心底安堵した。
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この日を境に、この野良の運命は大きく変わる‥‥。


いつの間にか、ミイロがツバサの側に来ていた。
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その姿を認めたツバサはすぐに“母”ミイロの側に近づいた。
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母離れを果たしたはずのツバサだったが、まだまだ甘えていたいようだ。


ミイロ2010年11月25日夕刻、ツバサ同年11月28日夕刻‥‥、これは此処へ遺棄された日時だ。
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相前後して“捨てられた”からなのか、この2匹は本当の母子のように寄り添って暮らしている。


ツバサがこのエリアに受け容れられたのは、このミイロの存在が大きい。
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ミイロの側だと安心できるのだろう、ツバサは体中の力を弛緩させて寛ぎはじめた。


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ツバサの様子を見ていると、ここにこのまま居るほうが幸せなのではと、ふと思ってしまう。


しかしそんなニンゲンの感傷的で一方的な想いは間違っているのだ。
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「野に暮らしても良いことないのよ」
マッシュの捕獲を手伝ってくれたあの女性の言葉が、今も私の耳に残っている。



船宿前にはシシマルとマサムネが無聊そうに体を横たえていた。
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そのシシマルにミイロが挨拶を求めている。
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おずおずとそれに応えたシシマルは、挨拶が終わるとすぐに背を向けた。


ミイロの後を追ってきたのだろう、ツバサは船宿前の駐車場にいた。
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“空気を読めない野良”はいつもマイペースだ。周りのことは一切に気にしない。
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シロベエとツバサの“プロレスごっこ”のゴングがいきなり鳴った。
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最近の戦績は、成長著しいツバサの方が優っているのだが、この時はツバサのモチベーションがイマイチで、ただ馴れ合っているだけだった。


シロベエもそんな半端なツバサの態度にヤル気をそがれているようだ。
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こうやってツバサがシロベエとじゃれ合うのも、これが最後になるだろう。


アクビをするツバサは如何にもダルそうな様子だ。
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病院で抗生剤を与えられてから一時回復していた鼻の調子が最近良くないようで、それが影響しているのかもしれない。


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この頃になると、訪問客が相次いだ。
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その中にはツバサに逢うため横浜からやってきたsyokoさんとご主人の姿もあった。


そして、そこへもうひとりの主役であるチャチャさんが船宿に到着した。
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ツバサはこれからチャチャさんに連れられ、この海岸から旅立ってゆく。



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