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wabi

Author:wabi


2008年にうつ病と診断される。
治療の一環として始めた海岸散策。
そこで知り合った海岸猫たちと交流を
深めるうちに彼らの魅力に心惹かれて
2009年10月に旧ブログを開設。
そして2015年9月に当ブログを新設。

★プロフィール写真は元海岸猫の愛猫

■ブログ紹介
逆境にもめげず健気に そして懸命に
生きぬいている野良猫たちの哀切物語

「海岸猫」とは海岸で暮らす野良猫

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2010年1月23日
東京都荒川区東日暮里で行方不明
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2012年8月5日
名古屋市緑区姥子山鳴海グランドで
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故郷の猫 『邂逅』

この日、母に診療を受けさせるため、私は付き添って病院へ行った。
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今回の治療は、点滴を含み2時間半から3時間を要する。
私はその時間を利用して、母に代わって役所と銀行の用件を済ませることにした。



そして用事を終わられた私は、病院へ戻るために、街の中心部を通り抜けようとした。
そのときだった‥‥。



私の視界の隅を1匹の猫が掠めたのは。
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ここは飲食店に隣接する駐車場。


私はその茶シロの猫とある程度の距離を保ちながら、ゆっくりと駐車場へ入っていった。
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茶シロは、突然現れた闖入者の私を、胡乱な眼でじっと見つめる。


どうやら、茶シロのパーソナルスペースは私のそれより狭かったようだ。そして知らぬうちに、そのスペースを私が侵したらしく、茶シロは駐車場の奥へ逃げていった。
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と、そこには、冬の陽射しを全身に浴びて昼寝をしているキジ白がいた。


さっきの茶シロの性別は定かではないが、この不敵な面魂は間違いなくオスだ。
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(あ、起きた‥‥)
私の気配を感じたらしく、キジ白がうっすらと眼を開けた。



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「気持よく眠っていたのに、どうしてオレの昼寝の邪魔をした‥‥」
そんな台詞が聞こえてきそうな面持ちだ。



やがてキジ白は、おもむろに起き上がると、私から離れていった。
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そこで私は、キジ白と一定の距離を保って、そっと接近した。


キジ白は、しばらく私を観察していたが、やにわに体を翻すと、路地の奥へ悠然と歩いていった。
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私が表通りへ戻って、建物の反対側に回り込むと、キジ白は逃げないで、まだそこにいた。


キジ白と私のちょうど真ん中あたりに、透明のトレイが転がっている。
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そして、そのトレイからこぼれたと思われるカリカリが道路に散らばっていた。どうやらここには、猫に給餌する人がいるようだ。


となると、キジ白も茶シロも野良である可能性が高い。
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私が育ったこの街では、野良猫をほどんど見かけない。一昨年の夏、漁港へ何度も足を運んだが、ついに1匹の野良も発見出来ずに終わった。


だから、野良が2匹揃っているところを見られるなど、想像もしていなかった。
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もしかしたら、私は探す場所を間違えていたのかもしれない。
‥‥根本的に。



海岸へ行けば、いつでも猫に会えるという状況に慣れてしまっていた私は、言わば猫を探すアンテナを鈍麻させていたのだ。
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先にも述べたが、ここは“飲食街”。寄る辺ない野良が食べ物を得るには絶好の場所である。
そして、身を隠すのに適し、時には暖を取ることも出来る“駐車場”もまた、猫が好む場所だ。



このキジ白も恐らく、己が生きていくため、“ここ”に棲みついたのだろう。
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穏やかな表情をした、この茶シロも‥‥。


私は猫から視線を外し、改めて辺りを見回してみた。
目の前に山門が見える。飲食店が並ぶその通りは、寺の参道でもあった。

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巡らした私の視野の端に、白いものが入り込んできた。


私は、思わず目を大きく見開いた。
(白猫だ。それも生まれて4、5ヶ月の仔猫だ!)

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体の一部がグレーなのは、元来の被毛の色なのか、それとも汚れなのか‥‥、確かめたくても、敵意さえ含んだその険しい目付きは、これ以上の接近を許してくれそうにない。


私はさらに目を瞠った。奥にもう1匹猫の姿を認めたからだ。
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(長毛のキジ白‥‥)
私は長毛のキジ白を見るのは、この時が初めてだった。



背後で音がしたので振り返ると、店先に別の仔猫がうずくまっていた。
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この子などは体全体がグレーに見えるが、本来は白猫だと思われる。


再び山門の方へ振り向くと、眼ぢからの強い子は物陰に身を潜めていた。
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そこへ店先にいた子が近づく。体の大きさから見ても、この2匹はキョウダイだろう。


今度は先ほどのキジ白が、ゆっくりとした足取りでこちらに近づいてくる。
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私の目の前を通り過ぎるときも歩度を変えず、飽くまでも泰然とした態度のままだ。


そして私に一瞥もせず、長毛のキジ白へ向かっていく。
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2匹のキジ白は、挨拶もしない代わりに牽制もせず、すんなりと擦れ違った。


短毛のキジ白が去るのと相前後して新たな猫が現れた。
毛色は“シルバータビー”。直訳すると、“銀縞”?

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純血種なのか雑種なのか、残念ながら私には判断できない。


さらに性別が定かではないので、この愛情表現が如何なるものなのか‥‥、それもまた、分からない。
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とまれ、この2匹が仲睦まじいことだけは確かである。


この寺の存在は憶えていたが、周りの様子がすっかり変わってしまっていて、にわかに思い出せなかった。
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当時、この山門の前は何度か通ったことがあるが、境内に入った記憶はない。


せっかくなので、参拝がてら中を見学することにした。
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本堂の側には樹齢が高そうな樹木が聳えている。
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私がこの街で暮らしていたときも、この銀杏の木は、すでにこうして立っていたのだろう。


山門を潜って参道に戻ると、さっきの薄汚れた仔猫が日向ぼっこをしていた。
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この子は、パーソナルスペースが狭いからか人馴れしているからか、私が近づいても逃げる素振りを見せない。


いったい、この仔猫の出自は如何なるものなのか‥‥。
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遺棄されたのか、それともここで生まれ育ったのか分からないが、すっかり野良としての暮らしに染まっている。


重症ではないが、猫風邪を患っているようで、時折小さなくしゃみをする。
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さらによく観察すると、猫風邪のせいか左目を眇めている。こういう子を見ると、胸が痛む。


気配を感じて視線を巡らせると、植込の中に新たな猫を発見した。
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まだ若そうなそのハチワレは、初めて見る私に興味があるようで、目を逸らせようとしない。


今回確認出来た猫は、これで7匹目。このエリアには、いったい何匹の野良がいるのだろう。
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本心はもう少し、この辺りを探索したかったのだが、母を病院へ迎えに行く時間が迫っていた。私は後ろ髪を引かれる思いで、寺を後にした。


翌日、再びこのエリアを訪れた私は、野良たちの過酷な実情を知ることになる。



〈つづく〉





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Comment

wabiさん おはようございます♪
お元気にお過ごしでしょうか
お母様のお世話も何かと大変でしょうね
多分ノラ猫さん どの町にもたくさんいるのですね
皆可愛い顔をしているのに運命は過酷ですね
どうぞ早く暖かくなってこの子たちがゆっくりとお日様を浴びられますように

こんにちは♪
私が住んでいる住宅街にも野良さんは、います・・・・
そして、その子たちは今は空き家となっている廃屋で暮らしていると
聞いたことがあります・・・・・・・
次回のお話がきになります・・・・・・・・^^;;

そとで出会える猫さんには癒されますよね^^

はやとうりさんへ

お気遣いありがとうございます。
お陰様で、主治医が見立てを過つほど母の症状は落ち着いています。
郷里の街に野良猫がこんなにいるとは思ってもいませんでした。
野良猫の検索キーワードは、飲食街、お寺、駐車場のようです。
彼らに今年の寒さをしのげるねぐらがあればいいのですが。

bunrumamaさんへ

こういう光景は全国どこでも見られるのでしょうね。
それは取りも直さず、どこにでも無責任なニンゲンがいる、ということにもなります。
昨夜のニュースで空家が全国的に増えていると報じていました。
そして一部の空家には野良猫が棲み着いているそうです。

猫みえわんさんへ

私はどんな猫に会っても癒されますが、劣悪な環境に暮らす野良を見ると、
どうしても切なさの方が勝ってしまいます。
そして、無力な自分をを責めるのです。
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