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wabi

Author:wabi


2008年にうつ病と診断される。
治療の一環として始めた海岸散策。
そこで知り合った海岸猫たちと交流を
深めるうちに彼らの魅力に心惹かれて
2009年10月に旧ブログを開設。
そして2015年9月に当ブログを新設。

★プロフィール写真は元海岸猫の愛猫

■ブログ紹介
逆境にもめげず健気に そして懸命に
生きぬいている野良猫たちの哀切物語

「海岸猫」とは海岸で暮らす野良猫

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2010年1月23日
東京都荒川区東日暮里で行方不明
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防砂林の奥で (前編)

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交通量が多くこれまでにも幾多の野良猫の命をうばってきた海岸沿いを走る国道。

その剣呑な国道わきの歩道に横たわる猫がいた。

以前『死線上の猫』のタイトルで紹介した人なつこいキジ白だ。


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その後ながらく姿を見なかったが、歩道を通っているときなどに防砂林のなかにひとりでたたずんでいる彼女の姿をときおり目撃することがあった。

そこで‥‥。


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普段は入らないその防砂林のなかへ私は足を踏みいれた。


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キジ白がカリカリに興味を示さなかったので、試しにたまたま持参していた猫用の煮干しを与えてみた。


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するとどうだろう、彼女の嗜好に合ったのかむさぼるように食べはじめた。


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やがてキジ白はトレイから離れると満足そうに舌なめずりをした。


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見ると10尾ほどあった煮干しはトレイの外にこぼれた1尾を残してきれいになくなっている。


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キジ白はそれから私の足元をすり抜け、そばにあった松の木に跳び乗るといきなり爪を研ぎはじめた。


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松の木は猫の爪研ぎにうってつけの形状をしていて、おそらくキジ白はいつもこうしているのだろう、一心に爪を研ぎつづけている。


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そんなキジ白が急に動きを止め、樹上に目をやる。


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そしてゆっくり松の木を登りはじめた。

「ここままこの木を登るつもりなのか?」そこで私はその動きに即応できるようにみがまえた。


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しかしキジ白は私の予想に反して木に登るのをやめてしまった。


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そしてそのまま幹の上で器用に身体を反転させるキジ白。

「気が変わって今度は木から降りるつもりなのか‥‥」


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だが今回も私の予測をキジ白はみごとに裏切り、ふたたび爪を研ぎだした。


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見ているとキジ白は目をほそめ楽しそうに爪を研いでいる。

そのようすは無邪気に嬉戯するニンゲンの子どもを彷彿とさせる。


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ひとしきり爪研ぎをして気分が落ちついたのか、キジ白は松の幹に腰を下ろし、開けた防砂林の中心部を眺めはじめた。


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しばらくそうしていたキジ白だったが、何かを察知したようにふいに視線を移した。


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さっきまで辺りを眺めていたときとはちがって、対象物を仔細に観察するような目つきだ。

私はキジ白の視線をたどり背後をふり返った。

すると‥‥。


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灌木の茂みのなかからひとりの黒シロ猫が姿をあらわし、カリカリが入ったトレイに近づいてきた。


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黒シロは一歩一歩確かめるように慎重に足を運ぶ。

警戒しているのだろうが、なぜか目の前にいる私には一顧の注意もはらわない。


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この黒シロに会うのはこれで2度目になる。

国道わきの歩道でキジ白に遭遇したさいに、防砂林のなかから盛んに鳴き声をあげていたのがこの黒シロだった。


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「それにしても‥‥」と私は思った。

このエリアに暮らしているのはキジ白と黒シロのふたりだけ、なのに黒シロの動きに注意をはらっているようなキジ白の態度は何を物語っているのだろう


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黒シロはカリカリを目の前にしてはじめて私の顔を見た。

だがその双眸からは警戒感や緊張感があまり感じられない。


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やがて黒シロはトレイにあるカリカリを口に運びはじめた。毒味でもするように一粒一粒ゆっくりと。


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食事を中断しふたたび私の動向をさぐるように視線を投げかける黒シロ。

私との距離は4メートルほどだが、やはりその瞳には野良猫にありがちなニンゲンに対する拒絶感がうすいように思える。


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カリカリが残り少なくなったころ、私は回りこみながら黒シロとの距離を縮めていった。

それでも黒シロは慌てて逃げたり、歯をむいて威嚇したりせず、その場にとどまったまま比較的穏やかな眼で私をみつめかえしてくる。


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キジ白はさっきからずっと身じろぎしないで黒シロを凝視しつづけている。


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やがてトレイのカリカリをほぼ完食した黒シロは身体をひるがえした。


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警戒心がうすいながらもやはり私の動静が気になるのだろう、黒シロの眼は前方に向けられているが、耳はこちらに向けられている。


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カメラを構えて自分のあとをつけてくる私を胡乱なニンゲンと感じはじめたのか、黒シロはさっきよりは明らかに鋭い視線を私に投げかけてきた。


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キジ白と黒シロの世話をしている人が置いてあると思われる陶製の食器、そのなかに入った水を飲みながらも黒シロは私から眼を離さない。


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そしてキジ白はそんな黒シロから眼を離さない。


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水を飲みおえた黒シロは踏み分け道を防砂林の奥へと進み、そのまま灌木のなかへ入っていく。

私は警戒心を強めた黒シロを追わず、その場にとどまることにした。


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よほど黒シロの存在が気になるのだろう、キジ白も私と同じように黒シロのうしろ姿を見送っている。


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同じエリアに暮らしているキジ白と黒シロ、そもそもこのふたりはどんな関係にあるのだろう?

きょうだい、親子などの血縁関係にある眷属なのか、それともたまたま同じ時期にここに住みついた、ただそれだけの間柄なのだろうか?


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海岸で暮らすようになったいきさつもそうだが、このふたりの出自や生い立ちについて私は何も知らない。

海岸猫に関わっている人たちに訊いても皆一様に首をかしげるばかりだ。

私が初めてふたりに会った去年の夏には両者ともすでに成猫だったので、ここで生まれた生粋の海岸猫ではないと思われる。

わかっていることといえば、キジ白が女子で黒シロが男子であること、そして特定の女性の世話を受けていることくらいだ。



〈つづく〉



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Comment

wabiさんへ!!

今年一年大変楽しく拝見させていただきありがとうございます。!
株も暴落し、世界経済も不安に包まれていますが、戦争にだけは発展しないでほしいですね^^。
簡単ですがお礼のご挨拶とかえさせていただきます。
良い正月をお迎えされます様にお祈りいたします。☆
今後どのようなことになるか楽しみですねー。
私事ながら今日は内科を受診して大腸検査となりました。アスハ介護リハビリが朝早く8・30に来ますので大変です。、超大手の施設のようで私には向かないようで断りたいと思います。まずは明日入ってきますが・・骨折等もありリハビリが無理と思うのですね^^・

荒野鷹虎さんへ

良いお年を

こちらこそ今年一年様々なジャンルの情報を発信していただきありがとうございました。
今年は私自身にも大きな出来事がいくつかあり、平成最後のこの一年は記憶に残る年になるでしょう。

荒野さんもどうか良いお年をお迎えください。
そして来年も宜しくお願いいたします。

こんばんは(^_-)-☆(*^^*)

今年ももう終わりですね。
毎回、記事の更新を楽しみにしています。

寒い冬は、猫たちが心配ですね。
乗り切ってくれると良いのですが。

どうぞ、良いお年をお迎えください(*^^*)

Miyuさんへ

良いお年を

今年一年、気まぐれな不定期更新のブログを
訪問していただきありがとうございました。

外で暮らす子にとって冬は厳しい季節ですが、
なんとか乗り切ってくれると信じています。

Miyuさんも良いお年をお迎えください。

今年もお疲れ様でした

こちらの記事の更新はRSSでチェックして毎回拝見しています

私も散歩で子猫を保護して
猫と関わりを持つようになりました
危険な環境を見守る優しいまなざしは
きっとどこかで猫たちの縁が繋がる糸になると思います

どうぞ良い年をお迎えください

佳きお年を♪

昨年は大変お世話になり感謝いたしています。
本年もまた可愛い猫ちゃんの生活ぶりをたっぷり見せていただきたくよろしくお願いいたします。!
wabiさんも体力がいる観察ですのでお体に気を付けて頑張ってください。☆

plateauさんへ

明けましておめでとうございます

四季折々の素敵な写真いつも楽しみにしています。
そして去年からはこてつちゃんの成長も楽しませてもらっています。
こてつちゃんすくすくと育っているようですね。

plateauさんにとってもこてつちゃんにとっても今年が良い年でありますよう
お祈りいたします。

荒野鷹虎さんへ

明けましておめでとうございます

こちらこそ昨年は大変お世話になりました。
今年も多岐にわたる情報の発信を楽しみにしています。
荒野さんも健康に留意して今年を良い年にしてください。

No title

何時もご訪問ありがとうございます。
ブログ楽しく拝見しています。
置き手紙が出来なくなりました。
今年も宜しくお願います。
またお邪魔しますね。

コロリンさんへ

コメントありがとうございます

こちらこそいつもご訪問いただきありがとうございます。
今年はもう少し更新の頻度を増やしたいと思っているのですが、
体調が思わしくないので難しいかもしれません。
こんな気まぐれなブログですが宜しくお願いします。

wabiさんへ!!

ここに登場する猫ちゃんたちはみな美しい気品があり野良ネコとは思いにくいですねー。飼い主が捨てたとしか思われません。罪な人だと思います。いつもハラハラドキドキで見ています。今後ともよろしくお願いいたします。☆

No title

煮干し美味しかったのね。
ふふふ。可愛いわ。

荒野鷹虎さんへ

犯罪者です

いつもご丁寧なコメントありがとうございます。
なかには生粋の野良猫もいますが、その子にしても
元々はニンゲンが遺棄した母猫から生まれた猫です。
平気で「命」を捨てるニンゲンは、仰るように犯罪者です。

コロリンさんへ

いつもありがとうございます

猫によっては煮干しが嫌いな子もいます。
我々と同じように猫にも食べ物の好き嫌いがあるようです。

wabiさんへ!!

春めいてきましたが公園内は捨てる人が増えないでしょうか・・と心配しています。
お疲れさまでしたね~☆!
またの日をお待ちいたします。☆

荒野鷹虎さんへ

いつもありがとうございます

春は猫の出産シーズン。
心無いニンゲンによる仔猫の遺棄が増えるのもこれからの数ヵ月です。
ここ数年は減ったのとはいえ、毎年数匹の捨て猫と思われる子を目にします。
いつになったらこういう酷薄な行為がなくなるのでしょう。
非公開コメント



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